人類を救う天才は「発達障害」ばかりだった! ハンパない潜在力を実体験から解説「発達障害最強論」!

■音楽分野

 前述の『天才と発達障害』によれば、英国のロックバンド・クイーンのリードヴォーカルだったフレディ・マーキュリーもASDだったという。彼の過剰な集中力、並外れた行動力、途方もない浪費癖などは、いずれも発達障害の特性を示しているのだ。同書によれば、過去の天才的な芸術家や科学者では発達障害が伴っているケースは稀ではなく、むしろ発達障害の特性が創造性を生み出したようにも思えるという。

 日本のアーティストでは、シンガーソングライターの米津玄師が成人になってから高機能自閉症と診断された。「高機能」と付くのは、知能障害を伴わないASDの一種を意味する。子供の頃には人とのコミュニケーションが苦手で、いじめでも苦しんでいたという。彼の創作におけるこだわりの強さや集中力も、ASDならではのものだろう。

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画像は「Getty Images」より引用

■「障害」の呼称は適切か?

 こうして多くの天才・偉人たちを見てくると、「障害」の呼称自体がふさわしくないものだと思えてならない。今回紹介した以外にも、ミケランジェロ、ゴッホ、山下清、スティーブン・スピルバーグ、スーザン・ボイル、グレタ・トゥーンベリなどがASDといわれ、黒柳徹子、トム・クルーズ、さくらももこ、水木しげるなどがADHDではないかとされている。

 精神科医の井貫正彦は、「あることには非常に優れた能力を発揮するけれども、別のことは極端に苦手。【中略】発達障害の人はその差が明らかに大きい。そのため、日常生活に支障が出るのです」(週刊現代、2019年4月20日号)と語っている。だからこそ、歴史的に名を残す仕事ができるのだろう。

 前述のビル・ゲイツは、子供の頃は一人遊びに熱中してイタズラばかりしていた問題児だったが、母親は決して彼に強制せず、息子の優れた側面に目を注ぐようにしたという。発達障害の子供を「天才」にさせられるかどうかは、親の方向性の示し方などにかかっているのではないだろうか。

 もし、読者の皆様に発達障害ではないかと思われる子供がいても、ある種の才能を伸ばす方向に持って行くことはできる。発達障害ゆえに「空気が読めない」からこそクリエイティブになれる。それが事実であることは、これまで示してきた天才たちを見れば明らかだろう。

参考:『天才と発達障害』(岩波明、文芸春秋)、『アスペルガーの偉人たち』(イアン・ジェイムズ、草薙ゆり訳、スペクトラム出版社)、「発達ナビ」、「朝日新聞」、ほか

文=百瀬直也

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