【世田谷一家殺害事件20年目の真実】犯人は朝まで家にいなかった可能性、致命的な捜査ミス…最恐の未解決事件「迷宮の歪んだ真実」(前編)

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■複数の「仮説」が氾濫! 「調べれば調べるだけ、世田谷だけはわからない」

 近年、捜査に大きな進展はないものの、警視庁は毎年のように新たな捜査情報や資料を公開するなどして情報提供を呼びかけている。2018年12月には、事件当時の様子を再現した3D動画を作成し、ホームページで公開した。その後も、現場の遺留品の一つであるハンカチを、犯人がどう使ったかを再現した写真などを公表するといったことを続けている。

事件当時の様子を再現した3D動画。画像は「警視庁」より引用

 いずれにせよ、警視庁が小出しでメディアに情報提供しているかのような印象があるが、実際はそうではない。世田谷一家殺害事件についての捜査情報は、ほぼ全て出し尽くされているのだ。そもそも、未解決事件の情報を小出しにする必要性もなければ、極秘にしておく意味もない。是が非でも事件を解決させたいという願いは誰しも同じだ。

 遺族らと接する捜査員や記者らは、少なからず事件解決を願う気持ちを共有し続けている。警視庁がわずかでも手がかりにつながり得る情報を提供するのは、事件を追い続ける粘り強い姿勢を示すためのものである。マスコミもまた、そのための取材を続けてきた。

「何でもいいので、これまでに世の中に出ていない情報を少しでも出して下さい!」

 警視庁から毎年のように公開されている情報は、こうしたマスコミの要請を受けて、探し出された末に出てきているものである。裏を返せば、それほどまでに捜査は手詰まりとなっていると言える。

 他方で、長らく世田谷一家殺害事件を取材してきたというジャーナリストや元記者らが、あたかも犯人に辿り着いたかのような仮説を披露している。だが、現場の記者らは、「あの人たちは聞いてきた話を、あたかも自分たちが取材したように話しているだけ。仮説ともなれば、何の確証も根拠もありません」とバッサリと切り捨てている。

 それはそうだろう。結果として、犯人が逮捕されていないのだ。そうした仮説に信憑性があれば、容疑者や重要参考人として捜査されているはずだ。現状でいえば、あれだけの遺留品が現場に残されていながらも、有力な容疑者すら浮上していないのだ。もっとも、それだけにいくらでも仮説を立てることができてしまうことにもなる。

 世田谷一家殺害事件の取材を始めた際、長年、現場で事件を追い続けてきたある人がこう話していた。

「調べれば調べるだけ、世田谷だけはわからない」

 後に、私もその言葉の意味を理解することになっていくのであった。

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