生物を超速で“完全に透明化”してしまう「DEEP-Clear」技術爆誕! ガチ透明人間もうすぐ登場か!(最新研究)
生物の理解を深めるためにはその内部構造の観察が不可欠だが、解剖したり薄切りにしたりという従来の手法は、大きな組織の全体像や全身に広がる神経系を観察するには不適切だ。そこで期待されているのが、切り開かなくても内部の構造を観察できるような「透明化」である。そして最近、オーストリアの研究グループが組織透明化の新たな手法を開発したと発表、話題になっている。
組織や細胞内に含まれる色素を除去し透明する技術はこれまでにも多数発表されているが、少数のモデル生物や特定の器官にのみ対応するものが多く、その観察手法にも制限がかかっていた。そこでオーストリア・ウィーン大学などの共同研究チームは、異なる化学処理を組み合わせることで、迅速に様々な色素を除去できる新たな透明化技術「DEEP-Clear」を開発した。
5月29日付で学術誌「Science Advances」に掲載された論文では、この技術を使ってワームやイカ、ゼブラフィッシュ、アホロートル(ウーパールーパー)の透明化を行っている。DEEP-Clearは軟体動物から魚、両生類まで様々な生物種に対応できる上、透明化後も内部のタンパク質やDNA、RNAを検出できることを示した。研究者らはこの他の生物種についても実験中でり、これまでの組織除去技術では対応できなかった多様な生物を研究するための強力なツールであると述べている。ちなみに透明化の全プロセスには、24時間も必要としないという。
また、DEEP-Clearの重要な特徴は、透明化処理されたサンプル全体を画像化できることにあるという。ライトシート顕微鏡と呼ばれる最新技術を用いれば、サンプル全体を素早くスキャンし、完全な3次元モデル作成が可能なのだ。脳などを含む神経系全体の高解像度画像も作成できることから、特に神経科学の研究に大きな威力を発揮すると期待されている。
DEEP-Clearは再生医学の発展にも寄与する可能性がある。一部の生物が持っているような、体の一部を欠損しても完全に再生させてしまう能力の解明に役立つ可能性が非常に高いからだ。開発に参加した研究者らも、幹細胞を可視化し、組織再生にどのように働くかを調査する上で、DEEP-Clearは大いに寄与すると期待を寄せている。
もちろんトカナ編集部としては、本研究がさらに進み、やがては人間の透明化技術が確立することを期待せずにはいられない。いずれにしても、(意図しようがしまいが)透明人間の実現に向かって人類が歩みを進めていることだけは間違いないだろう。新たな技術が切り開くのは、人類の科学技術の次なるステップなのだ。
参考:「Science Advances」、「TU Wien」、ほか
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