第二次世界大戦中、スイスの隔絶された寒村で起きた最狂に忌まわしい事件とは!? 消えた兵士、7人の子供、人肉食、洞窟の奥で…!
■不可解な盗難事件が続く
こうしてこの村にイギリスの兵隊たちがやってきたのだが、期待されていた任務はあまりうまく進んでいなかったという。同盟軍でないこともあり、スイス軍との連携はあまりうまく図られず、言葉の問題もあって村人たちとのコミュニケーションにも非常に大きな課題を抱えていたのだ。
部隊がやってきたのは1943年の冬であったが、降雪と吹雪の季節が本格化すると、村を出入りする道路が寸断され、当時のこの一帯はほぼ周囲から隔絶されたエリアになってしまうのだった。
運が悪いことに、この年には雪の影響で通信回線も断絶してしまい、村人たちと部隊は限られた食糧と燃料を消費しながら雪解けの季節を待たねばならなかった。こうした窮状にもかかわらず、部隊長は任務を継続し、ドイツ軍の動向に注意を払い、あらゆる犠牲を払ってでも村を守る決意を固めていた。
数週間後にはますます状況は過酷さを増し、急こう配の高い山に挟まれた村では日照時間もさほどなかったという。
兵士たちも疲弊していたのだが、この時になって村人たちは通訳を通して部隊がこの村に来てから村の各所で物品がなくなっていると不平を口にしはじめたのだった。防水シート(タープ)、木材などがいくつかなくなっていて、ある村人の家では飾っていたアンティークの刀剣(ハルバード)もある日なくなっていたのだという。
村人たちは兵士たちの中に盗人がいるのではないかと疑っていたのだが、隊長にはそれは考えられなかった。だが部隊が着任してから続いている不穏な出来事であることは否定のしようがない事実だった。
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