トランプの陰謀論をケロッピー前田が徹底検証! ヒラリーの私用メール問題がトランプを勝たせた!?

 10月17日、ロンドンのエクアドル大使館内から配信されていたウィキリークスのネット回線が遮断された。エクアドル大使館がアメリカの内政干渉にあたることを恐れ、アサンジの活動を制限したのだ。その後、しばらくアサンジは音信不通となり、ネット上では死亡説も流れるほど、その安否が気づかわれた。ヒラリーがアサンジの暗殺計画を指令したという噂もあり、ヒラリーは「アサンジをドローンで暗殺できないのか」とヒステリックな声を上げたとも報じられた。

 それでもウィキリークスによる情報公開は再開され、アサンジはエクアドル大使館にろう城したまま、ネットやテレビにも登場して、ヒラリーを攻撃し続けた。それでもヒラリーは逃げ切れるのか。トランプとの人気調査では一進一退の攻防が続いていた。

 10月28日、突然事態が急展開することになる。なんとジェームズ・コミーFBI長官が、ヒラリーのメール問題の再捜査を議会に文書で通知したのだ。ヒラリーの側近フーマ・アベディンのパソコンから、ヒラリーの私用メールが大量に見つかったというのである。

 事の次第は、警察が捜査していた事件で未成年の女の子に猥褻な画像を送りつけた男性が、ヒラリーの側近アベディンの前夫だったことに始まる。そして、その男から没収したパソコンが過去にアベディンと共用だったため、65万件ものメールが出てきたのである。FBIはヒラリーの私用メール問題に関する新しい証拠が見つかったとして再捜査を行うことにしたのだ。

 この問題の男とは、元政治家のアンソニー・ウィーナーである。ヒラリーの側近フーマ・アベディンは、イスラム系アメリカ人で、20年に渡りヒラリーに仕えていた。レズ疑惑が持ち上がるほど親密な関係にあった一方で、アベディンは、将来有望と言われていたウィーナーと結婚した。

アベディンとウィーナー。画像は「People」より引用

 しかし2011年、連邦下院議員だったウィーナーは自身のブリーフ1枚の下半身写真を、誤ってツイッターに投稿してしまう。このことがきっかけで、彼が女性と性的なメッセージや画像を送りあう「セクスティング」という性癖を隠し持っていたことが全米に知れ渡り、ウィーナーは議員を辞職することになった。その2年後、再復帰をかけたNY市長選のときも、女性に猥褻な写真を送りつける事件を起こしている。その後も彼は同様の事件を繰り返し、2016年8月、流石に愛想尽きたアベディンは離婚した。だが同年9月、ウィーナーは再び事件を起こし、証拠品として没収された夫婦共用のパソコンからヒラリーの私用メールが出てきたというわけだ。

 大統領選の投票日直前、この報道はヒラリーに決定的な打撃を与えた。11月6日になって、FBIは訴追しないことを決定したが、ギリギリまでヒラリーに投票するか迷っていた人たちが一斉にトランプに転向したといわれる。

 選挙結果が確定するまで、アメリカの大手メディアはヒラリーをずっと応援していた。そして、日本のメディアもそれに追従していたため、まさかドナルド・トランプが大統領になるとは思っていなかった人も多いだろう。

 実際、ヒラリーはあらゆる手段を使って、今度こそ大統領になろうとしていた。だが一方で、ヒラリーを絶対に大統領にしてはいけないと思っていた人たちも多くいた。そして、トランプ大統領が誕生した。

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