「日本学術会議の任命拒否」批判するべきはそこじゃない! (東大教授・三浦俊彦)
「日本学術会議の任命拒否」批判するべきはそこじゃない! 本当の問題は●●だ! (東大教授・三浦俊彦)
論点3:学問の自由の侵害
「学問の自由を侵害している」という批判はどうでしょう。政権擁護派はこう主張します。「学術会議に入らなくたって学問はできる、だから学問の自由の侵害はない」理論的にはそのとおりですが、「学問の自由」を狭くとりすぎた楽観論とも言えます。広義の「学問の自由」からすれば、〈萎縮効果〉が心配されるかもしれません。「反政府的な研究に携わると、政府に睨まれて、研究費が採択されないかも……」などと。
科学研究費の配分について日本学術会議は強い影響力を持つので、この不安は杞憂ではありません。今回の任命拒否を見て、若手研究者が政府を忖度するようになりかねない。これは広い意味で「学問の自由」の侵害です。
菅政権はこの「学問の自由の侵害」についてきちんと説明しているでしょうか。実は……ハッキリ説明しているのですよ。政府関係者の答弁には、こんな文言が頻出しました。
「総合的、俯瞰的活動を確保する観点から判断をした」。
菅首相自身が記者会見でこの言葉を発したとき、みんな「?」となったわけですが、この表現はもともと2003年2月に総合科学技術会議が出した「日本学術会議の在り方について」なる具申書に書かれていました。菅首相は「広い視野に立ってバランスの取れた行動」とも補足しています。初期条件として特定の主張に偏ることなく、多くの分野・見解を総合し、諸学説を俯瞰できる公正な立場からの討論を求む、という意味でしょう。
となると、菅政権が会員候補者を105名から99名に減らした合理的理由として考えられるのはただ一つ、「6名を除外して、アンバランスを是正した」ということだけです。このことは、任命権者経験のある橋下徹が何度も指摘していました。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊「日本学術会議の任命拒否」批判するべきはそこじゃない! 本当の問題は●●だ! (東大教授・三浦俊彦)のページです。超スカトロジスト時評、菅義偉、日本学術会議などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで