「日本学術会議の任命拒否」批判するべきはそこじゃない! 本当の問題は●●だ! (東大教授・三浦俊彦)

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画像は「getty images」より

論点4:少数者の排斥(反政府的意見の抑圧)

 特定の色合いの学者ばかりが排除されたように見えることから「多様性を認めろ、少数者を排斥するな」という批判がありましたが、実際は逆らしいということですね。相対的な多様性を確保して、公正を図るための削減だった可能性があると。だから、かりに政府の方針に賛同しがちな思想傾向の学者が多すぎたら、その方向の推薦が何人分か拒否されることになったでしょう(菅首相の「総合的、俯瞰的」が誠実であるなら)。

 政治が学問に介入する危険ばかりが心配されがちですが、学者の政治介入を防ぐことも同じくらい重要です。国民の代表は政治家であって、学者ではありません。選挙で選ばれたわけでない学者たちが、特定の政治的信条に染まったまま、多くの対立する学説の中から恣意的にピックアップした提言に熱中しだしたらどうでしょう。学者が行政機関の権威をまとってトンデモな生活様式を推奨したとしたら。一般市民は「政府のお墨付きの科学的倫理とはこういうものか」と誤解しかねません。

「軍事研究の禁止」や「復興増税」「ILC計画反対」をはじめとして、日本学術会議が発した過去の提言等への疑念がネットでは多数語られました。ここでは、最近の例を一つ紹介しましょう。「提言 性的マイノリティの権利保障をめざして(Ⅱ)―トランスジェンダーの尊厳を保障するための法整備に向けて―」(2020年9月23日)です。

 「手術要件なしで性別変更を認めるのが正しい社会のあり方だ」という趣旨ですね。

 「性自認」「ジェンダー平等」など未定義用語を無批判に使いながら、LGBT先進国で起きているトラブルには全く触れていない[4]。20人の学者が知恵を出し合った結果がこれだとしたら、日本学術会議がイデオロギー的にきわめて偏った人員構成になっていることが察せられます。特定の思想傾向を日本学術会議自身が排除している恐れがあるわけです。

[4] 事実の隠蔽だけでなく、虚偽も含まれている。冒頭から次のとおり。「一部のフェミニストのあいだには、「女性」をシスジェンダー(身体と性自認が一致)の女性に限定し、トランス女性を排除する動きがある」(p.ⅱ)。そんなフェミニストは存在しない。いわゆるterfに「女性とは誰のことか」と尋ねてほしい。「シス女性とトランス男性(FtM)だ」あるいは「シス女性とトランス男性(FtM)とオペ済みトランス女性(MtF)だ」と答えるだろう。シス対トランスという扇情的な対立を捏造する行為はきわめて有害である。

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