韓国ドラマは全て「ウソ」なのか ―― 韓国の悲惨な現実『韓国の若者』著者・安宿緑が語るヘル朝鮮の詳細
「パラサイト 半地下の家族」(2019)が米国アカデミー賞に輝き、サムスン電子がスマホやテレビの世界シェアトップを占めるなど、エンタメやビジネスで躍進を続ける韓国。また、キラキラした若者たちの恋愛や人間模様を描いたドラマも多数ヒットしている。しかし、それは韓国のほんの表の一面に過ぎない。その裏では、韓国の若者達はここ20年間地獄のような社会状況で喘いでいるのだという。
今年9月に刊行された『韓国の若者 なぜ彼らは就職・結婚・出産を諦めるのか』(中央新書ラクレ)は多角的な視点とデータによって、その実態を分析した意欲作だ。著者の安宿緑(やす やどろく)さんに、驚くべき韓国の現状について語ってもらった。
■韓国の若者の悲痛な叫び
ーー安宿緑さん(以下、安さん)が、韓国の若者の悲惨な状況に気づいたのはいつ頃なのでしょうか?
安宿緑 常に気にかけていたわけではなく、直接のきっかけは2017年の韓国の大統領選を取材なんです。
ソウル市の世宗広場(光化門広場)に若者が大勢集まっていて、彼らの文在寅大統領への期待値の高さと熱量に驚きました。「今度こそ自分達の状況を良くしてくれそうな大統領だ!」と。
ーー日本の若者とは政治に対する関心の度合いがまったく違いますね。
安宿緑 日本の若者は、そこまで政治に熱くならなくても生きていける状況なんだと思います。
取材するうちに、若者が苦境に立たされていて、そのために政治に期待していることが分かってきました。
印象的だったのは、正義党の沈相奵(シム・サンジョン)という女性候補の取材でした。泡沫候補ですが、20~25歳の若者に1000万ウォンを支給するなどの公約をし、若者からの支持を多く取り付けた人です。支持者だという金髪のパンクみたいな格好をした若者に取材すると、「若者の失業対策をしっかり考えてくれているから支持しています」とすごく真面目なことを言うんです。
若者達の生活と政治が直結しているんだなと思いました。その後、他の雑誌の編集長の要望もあり、韓国の高学歴貧困者について取材をするようになりました。
■超学歴社会が生み出す地獄
ーー韓国の受験戦争の激しさは日本でも有名ですが、韓国の大学進学率は70%台で、日本(2019年で58.1%)よりも高いんですね。
安宿緑 子どもの頃からみんなが必死に勉強するので、全体的に基礎学力が高いと感じます。もちろん日本でいうFラン大学のような大学もありますが、そこの学生でさえ自主的に問題解決をしようとする能力が高いと感じます。そういう若者達が韓国で無駄に消費されているのが、すごく勿体無いと思いますね。
ーー大卒就職率は8年連続で70%台しかないと書かれていましたね。
安宿緑 給料の高い大企業に就職できるのは一部の人だけという点は日本と同じなんですが、その傾向が極端なんです。全体的に学生の基本的なスペックが高く、TOEIC700点以上は当たり前。最低ラインとして700点以上ないと、大企業以外の面接も受けさせてもらえません。実際には800点以上あっても書類選考で落とされます。
韓国でもっともレベルの高いソウル大学の中でも超優秀なほんの一部の人しか大企業に採用されないので、基本的には「入れない」というのが前提です。
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