プレアデス星団は星6個なのに世界各国の神話で「7人姉妹」の矛盾! 同じ伝説が世界に散らばる謎が解決!

 研究者のバーナビー・ノリス氏と「The Conversation」の編集者であるミーシャ・ケッチェル氏はこの疑問に対する答えを提示している。これらの物語は、10万年前に星座がまったく異なって見えた時代にまでさかのぼると指摘しているのだ。

 すべての現代人は、約10万年前に地球の隅々への長い移住を始める前にアフリカに住んでいた人々の子孫である。そしてこの「7人姉妹」の物語は人類のアフリカ時代に作られた全人類が共有しているストーリーである可能性が示唆されているのである。つまり、現生人類が世界に散らばる前から語り継がれていた最古の“神話”であったというのだ。

 ガイア宇宙望遠鏡などで注意深く測定すると、プレアデス星団の星がゆっくりと空を移動していることがわかるという。そして現在、プレイオネと呼ばれる天体がアトラスに非常に近く重なり合っていて、肉眼では1つの天体に見えているのである。

プレアデス星団は星6個なのに世界各国の神話で「7人姉妹」の矛盾! 同じ伝説が世界に散らばる謎が解決!の画像3
「Science Alert」の記事より

 我々が現在掌握している天文学の知見から、これらの天体の動きを10万年前に巻き戻すと、プレイオネはアトラスから距離を置いていて別々の天体であることが肉眼で確認できたのだという。つまり10万年前の先祖たちは実際に「7人姉妹」を見ていたのだ。

 これらの星に関するギリシャとアボリジニの伝承の類似性と、今日では6つの天体しか見られないにもかかわらず、多くの文化がプレアデス星団を「7人姉妹」と呼んでいることの説明がこれで可能になる。

「7人姉妹」の物語がはるか10万年前から語り継がれてきたストーリーであるとすれば驚くばかりだが、人類史上最古の“神話”であるなら、その壮大過ぎるスケールには思わずめまいがしそうである。コロナ禍の中、何かと心穏やかでない日々が続いているが、時には冬の澄み切った夜空を見上げてプレアデス星団の「7人姉妹」とオリオン座のロマンスに思いを馳せてみてもよいのかもしれない。

参考:「Science Alert」、「The Conversation」、ほか

文=仲田しんじ

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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