【春日武彦×末井昭の連載/猫と母】夫婦喧嘩も猫で解決!? 不妊治療、離婚騒動、猫のお産…
2回目のお産で生まれた子どもは、キジ柄が2匹、黒猫が1匹でした。キジ柄の1匹は、美子ちゃんの従姉妹がもらってくれることになっていて、名前も〈タバサ〉と決まっていました。その直後、従姉妹夫妻がアメリカに1カ月滞在することになって、帰って来るまで預かっていたのですが、その1カ月の間に従姉妹の考えが変わって、もらってもらえなくなりました。体がだいぶ大きくなっていたので、もらい手がないまま17年間我が家にいます。
キジ柄のもう1匹は〈キキ〉という名前になり、美子ちゃんの両親のマンションで飼われていましたが、お父さんが亡くなり、その後、お母さんが骨折で入院したので、我が家で引き取ることになりました。
マンションで飼われていたので外の感覚がわからなくて、近所の家の屋根に登って降りられなくなったので、美子ちゃんが警察を呼ぶ騒動がありました。消防車を呼ばないと無理だと警察の人と話していたら、梯子を貸してくれる家があって、無事捕獲しました。人騒がせな猫です。
もう1匹の黒猫は、ぼくも所属している「ペーソス」というバンドのボーカルで、風俗ライターでもある島本慶さんにもらってもらいました。黒猫は魔除けや幸運、商売繁昌をもたらす福猫と言われているので、何かいいことがあるかもしれないと思っていたら、猫が来た次の日に年間2000万円の仕事がキャンセルになって、電車に飛び込みたくなったそうです。福猫になるはずだった黒猫は、〈デビル〉という名前になって今も飼われています。
〈ねず美〉が2回お産した後、今度は〈タバサ〉が妊娠しました。生まれたのはキジ柄、黒猫が1匹ずつで、黒猫は大阪の女装クラブを経営している人に、キジ柄はぼくが勤めていた会社の編集者にあげました。
〈ねず美〉の3回目のお産は、キジ柄2匹、白黒1匹で、キジ柄の1匹は吉原のソープ嬢に、残りの2匹は、漫画家の根本敬さんが知り合いに渡すということで引き取りに来ました。
ここまで書いて、少し頭が混乱してきました。わずか1年間に、猫がこんなに子どもを産むとは知りませんでした。
ということで、我が家には〈ねず美〉〈たび〉〈タバサ〉〈キキ〉のメス猫4匹が2年前までいました。そして、2年前に〈たび〉が亡くなり、1年前に〈キキ〉が亡くなりました。
2匹とも同じような亡くなり方で、突然何も食べなくなり、這いつくばって荒い息をしているうちに息が途絶えました。獣医さんには連れて行かないで、亡くなるまで美子ちゃんと見守っていました。2匹とも家の裏にある木の根元に埋まっています。
その木は、桜新町のマンションに住んでいた時、植木鉢で育てていた木です。それを裏庭に植えたら、日当たりが悪いのにどんどん大きくなり、〈たび〉も〈キキ〉もその木に登って遊んでいました。〈たび〉を埋めてからさらに勢いが付いて、二階のベランダに枝を張るほど大きくなりました。〈キキ〉を埋めたらさらに大きくなり、屋根まで届くほどになりました。
ぼくの仕事部屋の真ん前に生えているので、時々その木に目をやりながら〈たび〉と〈キキ〉のことを思い出しています。
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