脳を持たない生き物でも「幸せな記憶」は残ることが判明!
脳を持たない生き物でも「幸せな記憶」は残ることが判明! 人間の脳の働きと全く同じ…行動の根底にある普遍的な原理
舌を唸らせる食体験となった店はよく憶えているものだが、ひょっとすると食べ物の記憶は脳が憶えているのではないかもしれない!? 美味しい食べ物にありついた幸せな記憶は脳を持たない生き物でも持っているというのだ。
■脳がないアメーバでも“美味しい思い”をした記憶は残っている?
“アメーバ”として知られる変形菌の一種であるモジホコリ(Physarum polycephalum)は、巨大な多核体の単細胞生物で、モデル生物の1つとしてさまざまな研究に活用されている。
新しい研究では、脳や神経系がないこのモジホコリが以前に食料源を見つけた場所を覚えているように見えることが報告されている。原始的な生物であるアメーバにも“美味しい思い”をした記憶は強く印象に残っているということなのだろうか。
モジホコリは単一の核を持つ単一の細胞として誕生するのだが、後で他の細胞と融合して内部に数百万の核を持つ巨大な単一の細胞を形成し、数平方メートルまでの領域を網の目状にカバーするように成長する可能性もある。本体は相互接続されたチューブの複雑なネットワークで構成されており、プレッシャーによって異なる領域間との交流を可能している。このネットワークは急速に成長し、再編成し、今いる環境を最大限に活用しようと目論む。
2000年には日本の理化学研究所の研究チームがモジホコリが単純な迷路をクリアして食べ物の在り処に到達できることを実証した。進むべき進路を効率的に見出すことや、食料という物質を記憶しているかのような知的な行動が見られたのである。
モジホコリの研究はさらに進んでいる。独・マックスプランク研究所の研究チームが2021年2月に「PNAS」で発表した研究では、モジホコリは以前に食べ物を見つけた場所を憶えていることが実験を通じて確かめられたと報告している。

「私たちは生物の移動と摂食過程を追跡し、摂食後のネットワークの太いチューブと細いチューブのパターンに食物源の明確な痕跡を観察しました」と研究チームのカレン・エイリム氏は説明している。
正確には“記憶”と呼べるものではないが、実際にその場所で食べ物にありついた体験が記録・保存されているのだという。この現象を「インプリント(刷り込み)が形成された」と研究チームは説明している。
「モジホコリの非常に動的なネットワーク再編成を考えると、このインプリントの持続性は、ネットワークアーキテクチャ自体が過去の記憶として役立つ可能性があるという考えを引き起こしました。しかし、最初にインプリント形成の背後にあるメカニズムを説明する必要がありました」(カレン・エイリム氏)
アメーバという、脳はもちろん神経系もない単細胞生物にとっても食料にありつけた体験はかけがえのない“思い出”であることになる。生物にとってかくも食体験が重要であるのか、特にグルメではなくとも身につまされる話題ともいえるだろう。
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