古代人は「幽体離脱」をしながら壁画を描いていた!? 幻覚、陶酔、浮遊… 洞窟でクリエイティビティが爆発した“本当の理由”が判明!

 洞窟の奥に描かれた古代の壁画はどのような目的で描かれたのか。不特定多数に見てもらおうという意図はあまり感じられないのだが、それもそのはず、最新の研究では壁画を描くことはサイケデリックな幻覚体験であったというから興味深い。

■洞窟の奥深くで描かれた洞窟壁画の謎

 音楽や絵画などの創作活動とドラッグは、実際のところ切っても切れない関係にある。1960年代を中心としたドラッグ・カルチャーの中では、少なくないアーティストがLSDなどの幻覚剤を服用して作品づくりに励んでいたという経緯もある。

 それは古代の人々も同じであったことが、最新の研究で報告されている。洞窟の壁画アーティストはサイケデリックな体験と表現のために、奥深い洞窟の壁に絵を描いていたというのだ。

 イスラエルのテルアビブ大学の研究チームが先日発表した研究では、古代の洞窟壁画作家たちは酸素不足のために幻覚を見ていた可能性があることを報告している。そしてその幻覚が彼らのクリエイティビティの源泉になっていたというのである。

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「Daily Mail」の記事より

 研究者の最初の疑問は、ヨーロッパの旧石器時代の洞窟壁画の場所が、いずれも入口から何百メートルも離れていることにあった。なぜこれほど離れているのか。ほかの人に見せようという意図が感じられないのはどういうわけなのか。

 事実、洞窟を調べてみると壁画の描かれた場所は洞窟に居住する古代人たちの日常生活では侵入するはずもない奥深くの狭い場所であったのだ。

 研究チームは壁画が描かれているフランスとスペインの洞窟の構造と酸素濃度をコンピュータでシミュレーションした。対象となった洞窟は、たとえばスペイン北部のエル・カスティージョ洞窟、フランス南部アルデシュ県のヴァロン=ポン=ダルクにあるショーヴェ洞窟、フランスの西南部ドルドーニュ県ヴェゼール渓谷のラスコー洞窟などである。

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「Daily Mail」の記事より

 シミュレーションのモデルによれば、壁画が描かれた地点の深さは酸素濃度が急激に低下するポイントで、ここでアーティストたちは低酸素症になっていたことが示されたのである。

 大気中の酸素の通常の濃度は約21%で、残りは主に窒素で構成されている。シミュレーションでは壁画が描かれた場所では酸素レベルが15分以内に18%(低酸素症の閾値)を下回ることが示唆された。加えて天井が1メートル未満の場合、シミュレーションでは酸素レベルが2時間以内に11%を下回り、重度の低酸素症につながることが示されたのである。

 なぜそのような人体に危険な場所で彼らは創作活動に励んでいたのか。それは酸素の欠乏による“幻覚”を見るためであったことが推察されるという。

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「Daily Mail」の記事より

■異世界へ足を踏み入れる神秘的な体験

 研究チームは低酸素状態となる深い洞窟のような環境が神経伝達物質ドーパミンの放出を増加させることを説明している。

 潜在的には人体に致命的なダメージを及ぼす低酸素症だが、一方で幻覚、多幸感、身体の浮遊感や飛行感など体外離脱感覚を引き起こす場合がある。専門家は、このような状態では洞窟の壁に描かれた芸術作品が立体的に浮かんでいるように見えたのではないかと推察する。そしてそうした幻覚体験を描くことで優れた芸術表現を獲得していたというのだ。

 古代のアーティストにとって洞窟の奥深くで絵を描くことは異世界へ足を踏み入れる神秘的な体験として、一種の儀式になっていたのではないかと研究チームは指摘している。

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