自殺の名所で最強心霊スポット「東尋坊」の全てを村田らむが取材! 樹海専門家が歩く“恐怖の崖”は…
――B級スポット、樹海や禁断の土地、ホームレス取材を得意とするルポライター村田らむが寄稿!
仕事で初めて福井県を訪れた。
福井でまず行ってみたい場所は東尋坊だった。東尋坊は25メートルの崖がある、福井の名勝である。心霊スポットとしても有名だ。こういう記事を書くと、アナルスモーラーな読者から
「景勝地を心霊スポットって言うなんて失敬だ!!」
みたいなことを言われがちだが、東尋坊は歴史ある心霊スポットである。
東尋坊というのは、悪事の限りをつくした悪僧の名前だと伝えられている。東尋坊をよく思わない者たちは、東尋坊に酒を飲ませ、酔いつぶれたところで断崖に投げ込んだのだ。なっかなか凄惨な話だ。そして、東尋坊が海に落とされてから49日間、海は荒れ続けたと言われている。
この事件は1182年のことだと言われているから、東尋坊は800年以上前からガッツリ心霊スポットなのである。
宿泊していた福井駅からえちぜん鉄道三国芦原線に乗って50分ほどかけて三国港駅に到着した。三国港駅が最寄り駅だが、降りたらすぐに東尋坊……というわけにはいかない。
海沿いに30分ほど歩く。
海沿いの、とても爽やかな光景だ。
途中から段々道が険しくなっていく。普段の不摂生がたたり息が切れる。よく考えれば、東尋坊は崖だから上り坂なのは当たり前だ。
途中で『荒磯遊歩道 東尋坊』と矢印が書かれた看板が現れた。自然豊かな道を進んでいく。
少し行った先には『密漁禁止』の看板があり、その横には『夜の21時以降は歩行禁止』の看板が出ていた。
樹々が生い茂っているからあまり怖く感じないが、すでに崖の上だ。落っこちたら絶対に助からない。まだ死にたくないので慎重に歩いていく。
しばらく進んでいくと、公衆電話が現れた。自殺スポット名物の『救いの電話』だ。飛び降り自殺を考えて訪れた人が、思いとどまるために設置してある。2号機と書いてあった。1号機もしばらく離れた場所にあるのだろう。
公衆電話の中には、
『本当に大切なあなたへ』
というポエムが貼られていた。
「ゆっくり歩こうよ
人生辛く苦しい時だけじゃないよ
道に迷う時もある
1人ぼっちになる時もある
だけど忘れないで
あなたは1人じゃない
あなたの事を必要としている人が必ずいるよ〜後略〜」
そしてその隣には、
「恨みは、なぜ捨てられないのでしょうか? 身を滅ぼすだけなのに」
という自己啓発っぽい文章が書いてあった。
僕は全く自殺する気はなかったのだが、2枚の文章を読んだらとっても死にたくなってきた。
その他には、自殺防止の活動をしているボランティアの男性の記事や、その人の名刺が貼ってある。小銭がなくても電話がかけられるようにテレホンカードが何枚も置いてあるのを見て「懐かし!!」と思った。
夜中に訪れる心霊スポット紹介のコーナーだったら、しんみりと怖くなるところだけど、残念ながら真っ昼間のピーカンの天気だったので恐怖心は全くわかなかった。
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