【パンデミックと新宇宙時代】イーロン・マスクのスペースXが宇宙に送り込んだ民間人4名の正体とは!? ケロッピー前田が解説
ここでもう一人、民間人の乗組員たちを管制センターから支えるのが、主任技官の女性サラ・ギリスだ。4人の乗組員は右耳と左耳にそれぞれ異なるイヤホーンを装着するが、そのうちのひとつはサラとの交信用の割当てられている。緊急事態が起こったとき、管制センターから彼らに直接指令を送るのが彼女なのだ。その意味で彼女は第5のメンバーともいえるだろう。
ドキュメンタリーでは、1986年のチャレンジャー号、2003年のコロンビア号の事故の件にも詳しく触れ、宇宙飛行に共なうリスクに乗組員ばかりでなく、その家族たちもどのように向き合うかについても取り上げている。アイザックマンが選んだ対策は、様々なミーティングや訓練のたびに、可能な範囲で家族も同伴させ、お互いの信頼関係を築いていくことだった。
具対的な宇宙飛行プランについても触れておこう。
A look at Dragon’s Cupola, which will provide our Inspiration4 astronauts with incredible views of Earth from orbit!
— Inspiration4 (@inspiration4x) September 1, 2021
The crew visited the flight-hardware Cupola in California before it was shipped to Florida for integration with Dragon Resilience. pic.twitter.com/9ivMZrS1ip
ロケット部分の「ファルコン9」は、9つのファルコンエンジンを積んでいることから名付けられており、そのてっぺんに「クルードラゴン」という宇宙船が連結されている。
「ステージ1」は発射から大気高度の約半分の高さまで昇ったら第1段ロケットを切り離し、「ステージ2」は第2段ロケットで推進し、時速2万8キロまで加速してのち、切り離される。その後、クルードラゴンのみが、地球の周回軌道に入る。それぞれのロケット部は帰還の際には共に自動で垂直着陸する。4人の乗組員は、3日間周回軌道を回ったのち、向きを変えて、大気圏に向けて落下、小さいパラシュートで減速し、大きなパラシュートでゆっくりと大西洋に着水する。
ところで民間宇宙事業における垂直着陸技術については、2015年11月、アマゾンのジェフ・ベゾスのブルーオリジンが先行して成功させ、同年12月に、スペースXが追従している。不可能とされていたロケットの垂直着陸に成功し、再利用が可能になり、宇宙飛行の大幅なコスト削減に成功したのである。
また、インスピレーション4が飛行した575キロはかなり高く、地球周回軌道を回る有人飛行ミッションとしては、ジェミニやシャトルに次ぐ高さで、ISSや中国の宇宙ステーションが周回している約420キロよりも遥かに高いところを飛んだこととなる。
さらには、ISSとのドッキングで使うハッチの部分に360度の宇宙の絶景を楽しめるキューポラ観測窓が設置された。
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