【ヒトコワ】深夜4時、謎の眉毛、覚せい剤、ストーカー…『人怖 人の狂気に潜む本当の恐怖』村田らむが最恐話を公開

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 深夜3時過ぎに知らない番号から、電話がかかってきた。
 出ると、
「お前みたいなくだらない野郎が、偉そうにしやがって!! ふざけるなよ!! なめるなよ!! クズが!!」
 と一方的に怒鳴られた。
 何を言っているかわからないので、何とかなだめようとするのだが、なかなか興奮が収まらない。
 とにかく名前を言ってくれというと、
「Hだ」
 と苗字を言った。
 俺が
「Hという名前には覚えがない」
 というと、ますます猛り狂って怒鳴りはじめた。
「お前は俺を覚えていないのか!! 侮辱しやがって!! あああああ!!」
 と怒鳴った。
 何を言っているか非常に聞き取りづらいが、なんとか話を聞くと、Nさんという漫画家さんと仕事をしているという。

 Nさんとは一度、裁判所の食堂で会ったことがある。お互いに、逮捕された映像監督の裁判を傍聴に行っていたのだ。僕は編集と一緒で、編集とNさんが知り合いだったので、傍聴のあとに食堂で飯を食うことになったのだ。Hはその際、Nさんの横に座っていたという。
 そう言われてみたら、Nさんの横に人がいたのは思い出せる。でもそれ以上の情報は出てこなかった。そう言うと、


「絶対に後悔させてやるからな!! 許さないからな!!」


 と言って電話は切れた。
 その翌日も、その翌日も、深夜になると電話がかかってきた。
 さすがに
「深夜、4時に電話するのはやめてくれないか?」
 と言うと、


「今が深夜なんてウソを言うな!! ……あ、本当に深夜4時だ……。ご、ごめんなさい」


 と急に冷静になって電話は切れた。
 それがなんとも気持ち悪かった。

 彼の一方的に怒鳴る声の中から、知り合いの名前を聞き取ることができた。
 俺には、10歳ほど歳の離れた女性の弟子がいる。その弟子の名前だった。
 その頃はまだ彼女は大学生だった。
 俺は弟子に電話をして、
「Hという男から、奇声に近いような電話が毎日かかってくるんだけど?」
 と聞くと
「あ、すいません。その人は私のストーカーです」
 とあっさりと答えた。


「私が水商売で働いていた時、雑誌に載ったことがあるんですけど、たまたまHくんはその写真を見て『運命の人だ!!』って思ったらしくて、会いにきました。
 それから、付きまとうようになりました。
 大学から出たら、すごい騒ぎが起きていて、見てみたらH君が他の学生たちと口論をしてて。たぶん私が出てくるのを待ち伏せしてたんだと思います。ケンカしてるのを横目に逃げました。
 私の実家にいきなり尋ねてきたこともあって、母親に話を聞いてもらって追い返しました。なんとか話をしてつきまといをやめてもらおうと思ったんですけど……。


 ある日、H君が髪の毛の色を落としてたんですよ。自分でブリーチ剤を使って……。液体が髪の毛から垂れて、眉毛が縞模様に脱色してたんですよ。眉毛がシマシマ模様になってて気づかない、気にしないってヤバいですよね?
 その眉毛を見た時に、この人はもう会話通じないなって思って徹底的に無視するようにしました」

 そうして無視されるようになったHは、憎しみをぶつける相手に、彼女の師匠である俺を選んだというわけだ。
 俺を憎んでも意味がないと思うが、そういう理性が働くのならそもそもストーカーはしていないだろう。

 それから数日後、この一件とは全然関係ない知人から連絡が来た。
「ネットに、村田が覚醒剤をやってるって書いてあったよ。結構詳しい入手ほうとかも書いてあったけど、やってないよね? あと本名も書いてあったけど大丈夫なの?」
 と教えてくれた。
 もちろん俺は覚醒剤はやっていない。
 そして本名書かれるのは、全然大丈夫ではない。
 調べてみると、他にも俺をなじる書き込みがあった。その書き込みは、Hの罵倒ととても良く似ていた。
 慌てて、再び弟子に連絡をする。


「ああ、Hくんは自分で覚醒剤やっているんですよ。だから自分で覚醒剤を入手した方法を書いているんでしょうね。
 彼は少し前まで、精神病院に入っていたんですよ。だからもっとヤバくなるかもしれませんね」


 俺は身の危険を感じて、しばらく出歩くのを少しやめた。
 数日後、Hから再び電話が入った。
 やっぱり延々と奇声をあげて、俺を罵り続けた。俺はスピーカーモードにして音声をICレコーダーで収録した。
 そしてその内容を書き取って、漫画家のNさんに送った。

 NさんとNさんの担当編集者のMさんは「Hは、これ以上娑婆にいるのは無理」
 であると判断して、Hを説得し再び精神病院に入院することにしたと聞いた。
 直接暴力を受けたわけではなかったが、もう少し彼が追い込まれたら、俺に対して攻撃をしてきた可能性はあっただろう。
 弟子のストーカーに刺されて死ぬのは、あまりに理不尽すぎる。
 俺は、心の底からホッとした。

 ずいぶん年月が経った頃、Mさんと仕事をする機会があった。
 会話をする中でH氏の話が出てきた。
「彼、また精神病院から出てるみたい。今度はまともになってるといいけど」
 と話した。

 この文章を書いている今、おそらく彼は東京のどこかにいる。そして彼が本気を出せば、俺を殺すことができるだろう。
 俺は目の前がサッと暗くなった。

※本稿は、『人怖 人の狂気に潜む本当の恐怖』未収録の特別原稿です!さらに怖い話は本書でお楽しみください。

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