【ヒトコワ】深夜4時、謎の眉毛、覚せい剤、ストーカー…『人怖 人の狂気に潜む本当の恐怖』村田らむが最恐話を公開

関連キーワード:

,

,

――11月29日発売!村田らむの新刊人怖 人の狂気に潜む本当の恐怖』(竹書房)発売記念!! 書籍に載せられなかった「最恐ヒトコワ話」を特別掲載!

村田らむの新刊『人怖 人の狂気に潜む本当の恐怖』(竹書房)予約受付中!


 深夜3時過ぎに知らない番号から、電話がかかってきた。
 出ると、
「お前みたいなくだらない野郎が、偉そうにしやがって!! ふざけるなよ!! なめるなよ!! クズが!!」
 と一方的に怒鳴られた。
 何を言っているかわからないので、何とかなだめようとするのだが、なかなか興奮が収まらない。
 とにかく名前を言ってくれというと、
「Hだ」
 と苗字を言った。
 俺が
「Hという名前には覚えがない」
 というと、ますます猛り狂って怒鳴りはじめた。
「お前は俺を覚えていないのか!! 侮辱しやがって!! あああああ!!」
 と怒鳴った。
 何を言っているか非常に聞き取りづらいが、なんとか話を聞くと、Nさんという漫画家さんと仕事をしているという。

 Nさんとは一度、裁判所の食堂で会ったことがある。お互いに、逮捕された映像監督の裁判を傍聴に行っていたのだ。僕は編集と一緒で、編集とNさんが知り合いだったので、傍聴のあとに食堂で飯を食うことになったのだ。Hはその際、Nさんの横に座っていたという。
 そう言われてみたら、Nさんの横に人がいたのは思い出せる。でもそれ以上の情報は出てこなかった。そう言うと、


「絶対に後悔させてやるからな!! 許さないからな!!」


 と言って電話は切れた。
 その翌日も、その翌日も、深夜になると電話がかかってきた。
 さすがに
「深夜、4時に電話するのはやめてくれないか?」
 と言うと、


「今が深夜なんてウソを言うな!! ……あ、本当に深夜4時だ……。ご、ごめんなさい」


 と急に冷静になって電話は切れた。
 それがなんとも気持ち悪かった。

 彼の一方的に怒鳴る声の中から、知り合いの名前を聞き取ることができた。
 俺には、10歳ほど歳の離れた女性の弟子がいる。その弟子の名前だった。
 その頃はまだ彼女は大学生だった。
 俺は弟子に電話をして、
「Hという男から、奇声に近いような電話が毎日かかってくるんだけど?」
 と聞くと
「あ、すいません。その人は私のストーカーです」
 とあっさりと答えた。


「私が水商売で働いていた時、雑誌に載ったことがあるんですけど、たまたまHくんはその写真を見て『運命の人だ!!』って思ったらしくて、会いにきました。
 それから、付きまとうようになりました。
 大学から出たら、すごい騒ぎが起きていて、見てみたらH君が他の学生たちと口論をしてて。たぶん私が出てくるのを待ち伏せしてたんだと思います。ケンカしてるのを横目に逃げました。
 私の実家にいきなり尋ねてきたこともあって、母親に話を聞いてもらって追い返しました。なんとか話をしてつきまといをやめてもらおうと思ったんですけど……。


 ある日、H君が髪の毛の色を落としてたんですよ。自分でブリーチ剤を使って……。液体が髪の毛から垂れて、眉毛が縞模様に脱色してたんですよ。眉毛がシマシマ模様になってて気づかない、気にしないってヤバいですよね?
 その眉毛を見た時に、この人はもう会話通じないなって思って徹底的に無視するようにしました」

 そうして無視されるようになったHは、憎しみをぶつける相手に、彼女の師匠である俺を選んだというわけだ。
 俺を憎んでも意味がないと思うが、そういう理性が働くのならそもそもストーカーはしていないだろう。

 それから数日後、この一件とは全然関係ない知人から連絡が来た。
「ネットに、村田が覚醒剤をやってるって書いてあったよ。結構詳しい入手ほうとかも書いてあったけど、やってないよね? あと本名も書いてあったけど大丈夫なの?」
 と教えてくれた。
 もちろん俺は覚醒剤はやっていない。
 そして本名書かれるのは、全然大丈夫ではない。
 調べてみると、他にも俺をなじる書き込みがあった。その書き込みは、Hの罵倒ととても良く似ていた。
 慌てて、再び弟子に連絡をする。


「ああ、Hくんは自分で覚醒剤やっているんですよ。だから自分で覚醒剤を入手した方法を書いているんでしょうね。
 彼は少し前まで、精神病院に入っていたんですよ。だからもっとヤバくなるかもしれませんね」


 俺は身の危険を感じて、しばらく出歩くのを少しやめた。
 数日後、Hから再び電話が入った。
 やっぱり延々と奇声をあげて、俺を罵り続けた。俺はスピーカーモードにして音声をICレコーダーで収録した。
 そしてその内容を書き取って、漫画家のNさんに送った。

 NさんとNさんの担当編集者のMさんは「Hは、これ以上娑婆にいるのは無理」
 であると判断して、Hを説得し再び精神病院に入院することにしたと聞いた。
 直接暴力を受けたわけではなかったが、もう少し彼が追い込まれたら、俺に対して攻撃をしてきた可能性はあっただろう。
 弟子のストーカーに刺されて死ぬのは、あまりに理不尽すぎる。
 俺は、心の底からホッとした。

 ずいぶん年月が経った頃、Mさんと仕事をする機会があった。
 会話をする中でH氏の話が出てきた。
「彼、また精神病院から出てるみたい。今度はまともになってるといいけど」
 と話した。

 この文章を書いている今、おそらく彼は東京のどこかにいる。そして彼が本気を出せば、俺を殺すことができるだろう。
 俺は目の前がサッと暗くなった。

※本稿は、『人怖 人の狂気に潜む本当の恐怖』未収録の特別原稿です!さらに怖い話は本書でお楽しみください。

村田らむの新刊『人怖 人の狂気に潜む本当の恐怖』(竹書房)予約受付中!

編集部

TOCANA|世界をオルタナティブな視点で読み解く
Twitter: @DailyTocana
Instagram: tocanagram
Facebook: tocana.web

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

フォトショ以前のコラージュ写真と戦前の犯罪現場写真集! 驚異の陳列室「書肆ゲンシシャ」が所蔵する奇妙な本

フォトショ以前のコラージュ写真と戦前の犯罪現場写真集! 驚異の陳列室「書肆ゲンシシャ」が所蔵する奇妙な本

――【連載】驚異の陳列室「書肆ゲンシシャ」が所蔵する想像を超えたコレクションを徹...

2022.11.17 17:00歴史・民俗学
「ロシアは弱い核兵器を使わない」 最強水爆“ツァーリ・ボンバ”級核でウクライナを完全破壊か?(ジェームズ斉藤)

「ロシアは弱い核兵器を使わない」 最強水爆“ツァーリ・ボンバ”級核でウクライナを完全破壊か?(ジェームズ斉藤)

【連載:某国諜報機関関係者で一切の情報が国家機密扱いのジェームズ斉藤(@Jame...

2022.10.25 20:00第三次世界大戦
ロシア軍敗北は演出、クリミア橋爆破は「核兵器使用のため」だった! プーチンの謀略で“欧州経済崩壊&NATO分裂”へ(ジェームズ斉藤)

ロシア軍敗北は演出、クリミア橋爆破は「核兵器使用のため」だった! プーチンの謀略で“欧州経済崩壊&NATO分裂”へ(ジェームズ斉藤)

【連載:某国諜報機関関係者で一切の情報が国家機密扱いのジェームズ斉藤(@Ja...

2022.10.24 20:00第三次世界大戦
円安は来年3月に終わるはずだった…「1ドル=200円超」岸田政権の売国級判断で貧困加速へ! ジェームズ斉藤

円安は来年3月に終わるはずだった…「1ドル=200円超」岸田政権の売国級判断で貧困加速へ! ジェームズ斉藤

【連載:某国諜報機関関係者で一切の情報が国家機密扱いのジェームズ斉藤(@Jame...

2022.10.20 20:00陰謀論・政治
年末に向けて心身を整える波動商品3選! 人工知能にも勝てる美容クリーム、金運が上昇する念写写真、低周波が効く波動鉱石

年末に向けて心身を整える波動商品3選! 人工知能にも勝てる美容クリーム、金運が上昇する念写写真、低周波が効く波動鉱石

 不思議ジャーナリストの広瀬学氏は、科学では解明できないこの世の不思議を探求...

2022.11.18 14:00スピリチュアル

【ヒトコワ】深夜4時、謎の眉毛、覚せい剤、ストーカー…『人怖 人の狂気に潜む本当の恐怖』村田らむが最恐話を公開のページです。などの最新ニュースは知的好奇心を刺激するニュースを配信するTOCANAで

人気記事ランキング05:35更新

トカナ TOCANA公式チャンネル