北朝鮮からの漂着物に不気味な異変! 現地の新型コロナ対策と「ヤバい兆候」とは?
北朝鮮は依然、新型コロナウイルスの感染者数を「ゼロ」と主張して(昨年末時点)ミサイル発射に勤しんでいるが、内情は厳しい。感染抑止のための国境閉鎖からしばらく経って物資が極端に不足し、日本海の沿岸に漂着する生活ゴミにも異様な変化が現れているという。
北では金正恩総書記に代替わりして、さかんにペットボトル飲料が生産されるようになった。その巨体から推して知るべしだが、最高指導者の趣好を反映して砂糖たっぷりのジュースが一般の人民にも普及した。この影響で日本海沿岸では近年、投棄された北朝鮮のペットボトルが大量に打ち寄せるようになった。だが、沿岸の北朝鮮ウオッチャーは「昨秋からペットボトルが急に来なくなった。打ち上げられるのはこんな物のばかり」と、白い小型のチューブのようなゴミを並べて見せた。
かすれたパッケージに目を凝らすと「新義州化粧品工場『白鶴』」「平壌化粧品工場『銀河水』」といった商品名とともに歯磨き粉を示す「歯薬」という朝鮮語が読み取れる。
北の対外宣伝サイトで「歯薬」を検索すると、これみよがしにビタミン入りや歯石の予防を謳うゴージャスな歯磨き粉を紹介している。日本に漂着する歯磨き粉は「昔からある価格が安く、質の悪い物」(脱北者)ばかり。庶民にはチープな商品しか行き渡っていないようだ。
なぜ歯磨き粉チューブが多いのか。前出のウオッチャーは、平壌の出版社が発行した医学書の一部を見せてくれた。予防医学の章に「風邪の予防」という項目があり、「歯磨きをすると口の中にバイ菌がいなくなり、風邪を引かなくなる」とある。「人民は新型コロナも歯磨きで予防しているのではないか」(ウオッチャー)という見立てだ。
数は少ないが、奇妙な銘柄のペットボトルも見つかっている。今冬、新たに見つかった銘柄は「ナツメヤシの実 牛乳」「リンゴ牛乳」「山査子(サンザシ)ジュース」。牛乳に混ぜ物をするのは「健康飲料」をアピールするためとみられる。脱北者などにとると、乳酸菌は歯磨きと同様に新型コロナ対策として免疫力を高めようと飲まれているとみられるという。以前はマンゴーやパインといった南国の果実が好まれたというが、自国で収穫できる果物や実に変化していた。
山査子ジュースのラベルには「心臓に活力を与える健康飲料で、とても健康に良い」と、異例の「心臓」への効用まで強調されている。製造メーカーは日本海側にある元山(ウォンサン)市の「松涛園(ソンドウォン)総合食料工場」。正恩氏が何度も現地指導するお気に入りの工場だ。
ラベルにある原料を見ると、これまで北のペットボトル飲料に必ず含有されていた「砂糖」が消えていた。代わりに「ブドウ糖」「玉糖」という植物由来の糖分で甘みを付けていた。韓国メディアは国境閉鎖で砂糖の価格が倍以上になったと報じており、自給自足のできる原材料にスイッチして飲料を生産しているというわけだ。
「最高指導者の息がかかった飲料メーカーが『心臓』の健康飲料を発売する。あの人が、心臓を病んでいることの裏返しではないか」(前出の北ウオッチャー)と新商品に不穏な兆候を見いだしている。
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