古代の胸像「エルチェの貴婦人」やはり正体はエイリアンか!? 謎のヘルメットをめぐる最新の議論を追う!

 スペイン南東部バレンシア州アリカンテ県のエルチェに位置するラアルクディアの遺跡で、1897年に発見された女性の胸像が「エルチェの貴婦人」だ。紀元前4世紀のイベリア人の時代に石灰岩から作られたものだが、その神秘的なデザインとフォルムが今なお専門家を悩ませるとともに多くの論争を引き起こし、議論は1世紀以上続いている。

■2500年前の奇跡の胸像「エルチェの貴婦人」

古代の胸像「エルチェの貴婦人」やはり正体はエイリアンか!? 謎のヘルメットをめぐる最新の議論を追う!の画像1
「エルチェの貴婦人」 画像は「Wikimedia Commons」より

 何が議論されているのか? 最大の謎は「エルチェの貴婦人」が誰なのか、という点だ。この時代を一世風靡した女王なのか、あるいは影響力のあった巫女のような存在だったのか。彼女の謎めいた頭飾りや、車輪かコイルのような装飾から、失われた未知の古代文明に生きた女性、あるいは「地球外からの訪問者」ではないかと指摘する専門家さえ存在する。

 多孔質石灰岩から彫られた胸像のサイズは、高さ56cm、幅45cm、奥行37cmで重量は65kgである。胸像はチュニック、ドレス、そしてオープンケープという3つの印象的な衣服を着ている。また、発見時に表面に塗られた絵の具の痕跡があり、この彫像のほかに同じデザインの貴婦人が絵画に描かれていた可能性も高いということだ。

 専門家によって、かつて同地に古代イベリア文化が存在していたことが確認されている。考古学者を最も驚かせたのは、この地域のほかの出土品と比較して、「エルチェの貴婦人」が完璧に無傷な状態であったことだ。これにより、胸像が“非コンテキスト化”された――つまり、意図的にどこかから持ち込まれ、普通であれば見つけられないような場所に配置され、良好な保管状況の中で悠久の眠りを欲しいままにしてきたのではないかというのだ。しかし、もしそうだとしても、いったい誰がどんな目的でそうした手筈を整えたのかはまったくの謎である。

 そして最も目を引く大きな「コイル」だが、極めて装飾的なヘアスタイルか、派手な三つ編みのようにも見える一方、メカニカルな雰囲気をたたえており、奇妙な宇宙飛行士のヘルメットである可能性も無きにしも非ずである。とすれば、やはり「エルチェの貴婦人」は地球外文明由来の“エリアン”なのだろうか。

古代の胸像「エルチェの貴婦人」やはり正体はエイリアンか!? 謎のヘルメットをめぐる最新の議論を追う!の画像2
画像は「Wikimedia Commons」より

「エルチェの貴婦人」について、現時点で最も広く受け入れられている仮説はイベリア半島を起源とする理論である。その派手さから、かつて同地に実在したきわめて影響力のある女王のような存在であった可能性が高いという。彼女が未知の巫女、または女神であり、おそらくバスク文化に関連していると指摘する声もある。また、月や太陽などの星がもたらす力を操るカルタゴの女神「タニト(Ta-nit)」との関係を示唆する専門家もいるという。

古代の胸像「エルチェの貴婦人」やはり正体はエイリアンか!? 謎のヘルメットをめぐる最新の議論を追う!の画像3
画像は「EXPLORERS」より引用

 だが、一部の研究者の間で「エルチェの貴婦人」頭部の装飾はヘアスタイルではないという主張も根強く唱えられているのだ。というのも、この地域にかつて栄えた文化において、これほどまで華美な装飾が存在したという記録は今のところ発見されていない。

 したがって「エルチェの貴婦人」は、同地の文化とは共通点の少ない、言葉通りの“異邦人”――つまり“エイリアン”であるという表現も確かに成り立つというわけだ。

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