国際宇宙ステーションでの自慰行為、射精1回で女性3人が妊娠の恐れ？放たれた精子が遊泳して… 報道に衝撃広がる

2022.07.27 18:30 文＝仲田しんじ

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　ISS（国際宇宙ステーション）内は“オナ禁”なのだろうか？最近になって宇宙飛行士たちに自慰行為を禁じる警告が発令されたと複数メディアやSNSで話題になっているのだが……。

■ISS内「オナ禁令」の真相は？

　人類の宇宙進出において決して無視できない課題がいくつか残されている。その1つが宇宙空間での性行為だ。

　そして先日、米紙「The New York Post」をはじめとするいくつかのニュースサイトが、「複数の女性宇宙飛行士を妊娠させる可能性があるため、NASAの科学者が男性宇宙飛行士にISS内での自慰行為を禁止するアナウンスを行った」という内容の記事を公開している。SNSで拡散した詳しい解説によると、「無重力下での1回の射精で3人の女性を妊娠させてしまう危険がある」という。放たれた精子が、女性宇宙飛行士めざして無重力空間を遊泳するというのだろうか？

国際宇宙ステーションでの自慰行為、射精1回で女性3人が妊娠の恐れ？放たれた精子が遊泳して… 報道に衝撃広がるの画像1 — イメージ画像：「Getty Images」

　事の発端は、人気テレビ司会者でコメディアンのコナン・オブライエン氏がポッドキャスト番組「Conan O’Brien Needs a Friend」で繰り広げた興味深くもコミカルな話のようである。

　番組ゲストとして、米テキサス州ヒューストンのNASAの請負業者と仕事をしているエンジニアのスマイス・ムリカン氏が参加。話がISS（国際宇宙ステーション）に供給している物資の話になり、オブライエンはムリカン氏にどのようなアイテムをISSに送ることができるかについて尋ねた。

　ISSに送られる可能性のある最も奇妙なアイテムについてオブライエンが考えを練っている間、共同ホストのソナ・モフセシアンがポルノをISSに送ったことがあるかどうかムリカン氏に尋ねた。

　ムリカン氏の答えは「ノー」であった。

　しかし、好奇心旺盛なホストはこの答えに満足せず、ポルノと宇宙でのマスターベーションについて冗談を言い続けた。もう1人の共演者であるコメディアンのマット・グーリーが、「宇宙飛行士が宇宙で自慰行為をした場合、3人の女性宇宙飛行士が同時に妊娠する可能性がある」と冗談を言ったのだ。この時のやり取りの内容は以下の通りだ。

オブライエン：宇宙ステーションで宇宙ポルノを見ている人がいたら、どうなっちゃう？
グーリー：1人の男性の1回の自慰行為で、3人の女性宇宙飛行士を妊娠させてしまうかも。
オブライエン：精液が飛び交うから？
グーリー：そうそう。そして（精子は）進むべき道を見つけます。
モフセシアン：女性たちはすべて裸なの？
グーリー：そう、これこそが宇宙ポルノです。

　ISS内での“オナ禁”を命じた「NASAの科学者」の正体は、実はコメディアンのグーリーであったようだ。

国際宇宙ステーションでの自慰行為、射精1回で女性3人が妊娠の恐れ？放たれた精子が遊泳して… 報道に衝撃広がるの画像2 — 「Snopes」の記事より

■宇宙での性行為が現実の問題になる日は近い

　コメディアンのネタにされてしまった宇宙での自慰行為だが、人類が本格的に宇宙に進出した暁には、宇宙での性行為についての明確な基準が求められてくるだろう。ともあれ宇宙で自慰行為をすること自体に問題はないのだろうか。

　NASAはこの種の問題に関して口を噤んでいる。宇宙でのセックスについては身体を固定する手段などのいくつかの技術的な問題が考えられ、無理なく行うためには専用の器具を開発する必要も出てきそうだ。

「史上最も孤独だった男」との異名をとる宇宙飛行士の故マイケル・コリンズ氏による1989年の著書『Liftoff』では、ある医療顧問が前立腺の問題を防ぐために宇宙でのオナニーを奨励したと書いている。

「スカイラブの飛行前に、独身の乗組員にとって尿路の問題につながる前立腺感染症の可能性など、さまざまな医学的懸念が表明されました。ある医師は定期的なオナニーを勧めました」（同著より）

イメージ画像：「Getty Images」

　米メディア「VICE」は、2020年にこの問題を調査し、ロシアの宇宙機関がさらに一歩踏み込んだ可能性があることを発見している。ロシアの宇宙飛行士ワレリー・ポリャコフの日記によると、彼の14カ月の宇宙滞在に際して当局はダッチワイフを提供することを申し出ていたという。ちなみにポリャコフはその申し出を断っている。

　ともあれ今後宇宙が身近になるにつれて、宇宙での性行為は現実の問題として解決策が求められてくることは言うまでもない。この問題について今後どのような議論が交わされることになるのか、興味深い。

参考：「Daily Star」、「Snopes」、ほか