日本の「台湾有事シミュレーション」は売国級の稚拙さ! 弱点を中国に発信… 防衛の絶望的実態をジェームズ斉藤が解説

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画像は「ANNnewsCH」より引用

ジェームズ  そうですね。だからこそ、残念なのです。幕僚長といえば、作戦立案を担当する参謀のトップです。米軍を含む普通の軍隊では参謀長と呼ばれ、軍事作戦に関してはすべてを把握しているはずです。

 ところが、こういった状況になっているということは、自衛隊も軍隊として機能していないことを示してしまっています。戦後ずっと軍隊として扱われてこなかったので軍隊としての自覚が育っていないのでしょう。これはメルマガでも指摘しましたが、自衛隊の立場はいま特別職の国家公務員です。軍人ではありませんので、ハーグ陸戦条約などの条約で守ってもらえないのです。そういうあやふやなポジションもあって軍人としての意識が希薄なのかもしれません。

 ともかく、あのシミュレーションを見れば、日本をどう攻めれば効果的なのか? がすべてわかってしまいます。日本の法整備の欠陥まで暴いてしまっているので、そこを利用した戦略まで可能にしており、一体これは誰のために作ったのと思えるほど日本の弱点を世界に向けて発信しています。

──日本を倒すためのガイドになってしまっていると。思っていた以上にヤバい動画だったんですね。

ジェームズ  残念ながらそう言わざるを得ません。というのも一つひとつが官僚的なのです。例えば、戦争事態認定というのが3段階あって、レベル1は重要影響事態、次のレベル2は存立危機事態、一番危険なレベル3が武力攻撃事態です。しかし、すでに起きてしまっている事態を、これはレベル1、これはレベル2と認定する必要ってありますか? 

──いえ、まったく必要ないです。その判断をしている時間がムダで無意味です。確かに官僚の仕事みたいですね。

ジェームズ  官僚が絡むとムダが多くなるのです。自衛隊はいま文民統制の名の下に、制服組と呼ばれる自衛官を、背広組と呼ばれる官僚が支配下に置いている、文民統制の概念を歪曲化した歪な組織になっています。自衛隊側が改革を唱えると「軍の暴走を許さない」で議論が封じられてしまってどうにもできなくなっています。

 なので、現場の自衛官の意思決定サイクルは無駄に長く、現場の意思は往路ではリレー式に背広組の各担当者を経て、やっと政治家に到達し、同じ流れで復路があります。ですから軍事の常識ではあり得ない遅さなのです。

 組織レベルで意思決定サイクルをいかに速く回すかが、現代の戦争の勝敗を決めると言われているのに、自衛隊がやっているのはその逆です。構造からして非常に「反戦」的な組織になってしまっているのは何かの皮肉でしょうか。

──それでふと思い出しましたが映画『シン・ゴジラ』では官僚がかっこよく意思決定し、自衛隊を手足のごとく使っていましたが。

ジェームズ  あんなことは絶対にあり得ません。出演者のすべてが自分で責任を取るのを嫌がる人間たちがやっていると仮定すれば、実態が見えてくると思います。

──結局、日本の軍事の問題は文民統制の誤解にあるんですね。普通、文民統制といえば文民が軍を指揮すると思うじゃないですか? でも、首相や政治家が戦争の何を指揮するんですか? 素人の彼らが戦争の指揮など取れるとは思えないのですが。

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