ヴァイキングの拷問法「血のワシ」が行われた理由とは? 背中の肋骨を開いて肺を広げる残酷性の意味

血のワシはヴァイキングの野蛮さを象徴する?

 血のワシが真実であるか否かにかかわらず、この噂が広まることで人々がヴァイキングの襲撃を恐れるようになったのは確かだろう。

 一方、血のワシが噂の域を超えて、ヴァイキングの野蛮さを象徴する役割を担った可能性を示唆する学者もいる。アイスランド大学の宗教史家であるルーク・ジョン・マーフィー氏は、「血のワシは、21世紀初頭に『ヴァイキング』(のイメージ)が構築された際に重要な役割を果たしています。これは一般的に、鉄器時代の北欧地域では暴力が日常的であったという(理解)を支持するものです」と述べる。その上で、ヴィクトリア朝の学者たちは、血のワシについて記述することで、侵略者であるヴァイキングの野蛮さと、非侵略者である「ネイティヴな」英国人の優位性とを強調したと解釈する。

ヴァイキングの拷問法「血のワシ」が行われた理由とは? 背中の肋骨を開いて肺を広げる残酷性の意味の画像4画像は、「All That’s Interesting」より

 テネシー大学の歴史学者であるマシュー・ギリス氏は、中世のキリスト教作家を「ホラーの専門家」と表現し、彼らの作品は「聴衆を怖がらせて神に立ち返らせる」といった教訓を与えることを意図していたと述べる。ギリス氏は、2004年に「テロは方向感覚を失わせる傾向がある」と書いた中世史学者バレンティン・グローブナー氏の初期の研究に基づいている。ヨーロッパの中世において、暴力とその暴力の描写方法は、意味を生み出す方法で、従来は目に見えていなかった重要なアイデアを目に見えるようにする方法でもあったという。血のワシは、部族間で境界線を引き、その境界線を越える危険性を部外者に警告する方法としての意味があったと考えられる。血のワシのような拷問は、文字通り人間を動物に変えることによって、犠牲者を非人間化させる機能を果たしたという。

 ヴァイキングは商人や探検家である一方、暴力や人身売買を好んだというのも史実とされる。後者のイメージが血のワシの逸話と結びつき、現在も人々の間で語り継がれている。

動画は、「YouTube」より


参考:「All That’s Interesting」、「Smithsonian」、ほか

関連キーワード:, , , ,
TOCANA編集部

TOCANA/トカナ|UFO、UMA、心霊、予言など好奇心を刺激するオカルトニュースメディア
Twitter: @DailyTocana
Instagram: tocanagram
Facebook: tocana.web
YouTube: TOCANAチャンネル

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

danger
イタコ、霊媒、エロ祈祷…エログロナンセンスな超常現象ドキュメンタリー『恐怖・怪奇・悪霊 超常現象の世界』とは?

イタコ、霊媒、エロ祈祷…エログロナンセンスな超常現象ドキュメンタリー『恐怖・怪奇・悪霊 超常現象の世界』とは?

※こちらは2020年の記事の再掲です。 ――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・...

2024.02.27 08:00奇妙
青酸カリで人を殺すのは意外と難しい。推理小説のトリックは概ね間違いだった!?

青酸カリで人を殺すのは意外と難しい。推理小説のトリックは概ね間違いだった!?

【ヘルドクター・クラレの毒薬の手帳 第1回、青酸カリ/後編】  ※本記事は2...

2024.02.07 08:00科学
【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の話

【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の話

本記事は2015年に掲載された記事の再掲です。 【ヘルドクター・クラレの毒薬の...

2024.02.06 08:00科学
九州地方で正月に行われていた飲尿儀式の伝統があった!?

九州地方で正月に行われていた飲尿儀式の伝統があった!?

※本記事は2018年の記事の再掲です。 【日本奇習紀行シリーズ】 九州地方 ...

2023.12.30 08:00奇妙
“神の領域”を見た超能力者「赤松瞳」人類を救うために彼女が残したものとは…

“神の領域”を見た超能力者「赤松瞳」人類を救うために彼女が残したものとは…

不思議ジャーナリスト・広瀬学が渋谷クロスFMのラジオ番組のレギュラー出演者にな...

2024.05.20 18:00スピリチュアル

ヴァイキングの拷問法「血のワシ」が行われた理由とは? 背中の肋骨を開いて肺を広げる残酷性の意味のページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

トカナ TOCANA公式チャンネル