沖縄県の「野良猫捕獲計画」が“残酷”である理由とは? 殺処分激増の恐れ、取材で判明した杜撰な実態

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沖縄県の「野良猫捕獲計画」が残酷である理由とは? 殺処分激増の恐れ、取材で判明した杜撰な実態の画像1
画像は「Getty Images」より

 沖縄県は10月、「沖縄島北部における生態系保全等のためのネコ管理・共生行動計画(案)」をとりまとめ、パブリックコメントを募った。

 概要は沖縄県北部の市町村と環境省が主体となり、ヤンバルクイナなどの稀少動物や環境を保護するなどの理由から、今後10年間で野良猫を全頭捕獲し、保健所などの収容施設で里親を探すというもの。当初、10日以内に見つからない場合は捕獲された猫が殺処分もしくは実験用動物にされてしまう可能性があると書かれていたが、10月31日の時点で「実験用動物」の記載は削除された。これについて、現地メディアの記者A氏は、「来年度予算を決める次期だから、沖縄には動物実験をする研究施設は少ないのを知らないまま、内容を吟味せず他自治体からほぼコピペしたのでは」と指摘した。

 いずれにしても、あまりに生命を軽んじる酷い計画のように思えるが、一体どういうことなのか。

 筆者は当計画について、行き場のない猫を保護して里親を募集するなどの活動をしている保護猫カフェ「ねこかつ」の代表、梅田達也氏に筆者がインタビューした。

梅田達也氏(以下、梅田) 「沖縄島北部における生態系保全等のためのネコ管理・共生行動計画(案)」は、「ずっとやんばる ずっとうちネコ アクションプラン」をキャッチフレーズにし、(人と猫との)「共生」とは、「ネコを適正飼養することにより生態系に悪影響を与えずに人とネコが共生すること」を目標としています。

 

 しかし、中身は非常に残酷なものです。ここでいう「共生」とは完全室内飼いの猫のみが対象で野良猫の生存権は一切認めていません。

 

 このプランの目的の最後の方に「ネコの安全の確保・健康の維持に寄与」とありますが、野良猫を捕まえて殺すのですよ。

 

――なぜこのような計画ができたのでしょう?

 

梅田 大きく分けて3つの理由があげられています。

①野良猫が希少種動物を捕食する

②人獣共通感染症の危険

③猫の安全確保や健康維持

 

 しかし、①について野良猫が希少種を捕食するといったことはゼロではないでしょうが、野良猫の数をゼロにする必要はないはずです。

 

 絶滅危惧種の保全であれば、数が減らなければいいのですからTNR(捕獲・不妊手術の実施・元の場所への返還)や里親募集によって野良猫の数が増えないようにコントロールすれば目的達成は可能なはずです。

 

 そして、「ねこかつ」も含むいくつもの愛護団体が野良猫を保護していますので、殺処分しなくても野良猫の数も減っています。

 

 しかも、肝心のヤンバルクイナの生息数について、沖縄環境部自然保護課に電話したところ、生息数は非公開で、知りたければ、申請書を提出する必要があるとのことでした。

 

 傾向だけでもと粘ったところ、2007年の最初の統計からは増えているが、近年は横ばいで減ってはいないと。

 

――じゃあ、野良猫を殺す必要ないじゃないですか! 明確な情報を開示しないのは行政の透明性という面からも問題ですね。

 

梅田 そして、「②人獣共通感染症」は沖縄県の資料で、トキソプラズマ症があげられていますが、「ねこかつ」で野良猫と密に関わってきてもトキソプラズマ症にかかったとか、ましては重症化したなど聞いたことがありません。

 

――国立感染研究所のHPによると、 トキソプラズマのヒトへの感染は、トキソプラズマに感染した肉を加熱を充分にしないで食べる、トキソプラズマに感染しているネコの糞に触れる、キスや性交による感染が主なので、野良猫が生きているだけでは感染しません。そもそも世界の人類の3分の1以上がトキソプラズマに感染しているといわれますので、妊婦や免疫力が特に弱い方以外は過度に恐れるほどの病気ではないと思います。

 

梅田 「③ネコの安全確保や健康維持」について、飼い猫の室内飼育と野良猫のTNRによる個体数減を進めればいいだけです。そもそも、ネコの安全確保の為にネコを殺すなんて、論理破綻も甚だしいです。

 

――ボランティア団体が市町村とタイアップして、里親募集により力を入れることはできないのですか?

 

梅田 ボランティアの人手が足りず、本当にいっぱいいっぱいなのです。なんとか一時的にでも、無理に保護している状況です。引き取り手が見つからない場合、殺処分されてしまいます。

 

――酷い! 殺処分ゼロを目指すことがグローバルスタンダードなのに、なぜ沖縄県はこのような動物愛護・アニマルウェルフェアから遅れた政策をするのですか?

 

梅田 今回のプランの主体は、環境省、沖縄県、国頭村、大宜味村、東村の三者ですが、 国、県、村を含む行政が野良猫を殺処分したいという利益団体のみの意見を聞いて政策決定をしていることが問題だと思います。 ヤンバル地域の猫の捕獲に年間数千万円という税金が使われていまして、利益団体に流れています。このような裏事情も要因しているかもしれません。

 

 動物愛護団体側の意見を一切聞いていないので、このような偏った愚かな政策がとられてしまうのだと思います。動物愛護団体側の意見を聞いて、協力体制をとれば、いままで利益団体に流れた何億などという税金を使わずとも、猫の命も守りながら希少種も保護できる政策が実行できるのに残念でなりません。

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