ブラックホールは宇宙人のパソコンだった!? 先進的な地球外知的生命体を発見へ

「ホーキング放射」は検出可能

 今日の我々の文明の量子コンピューティングの進歩の速さを考えると、高度な文明がこの技術をより大きな規模で適応させていると考えるのは完全に論理的であると研究チームは説明する。そして量子情報を最も効率的に保存できるのはブラックホールであることが示されているという。

 したがって先進文明のエイリアンは量子コンピュータとして利用するために小型のブラックホールを作り上げているというのである。この小さなマイクロブラックホールは、自然に発生するものよりも高エネルギーになるということだ。

 ではどうやってエイリアンが量子コンピュータとして使っているブラックホールを見つければよいのだろうか。

 故スティーヴン・ホーキング博士が説明した「ホーキング放射」は、相対論的量子効果によりブラックホールの「事象の地平線」のすぐ外側で放出されていることが理論化されている。ホーキング放射はブラックホールの質量と回転エネルギーを減少させ、最終的にブラックホールは質量を失い蒸発すると考えられている。

ブラックホールは宇宙人のパソコンだった!? 先進的な地球外知的生命体を発見への画像3
画像は「Pixabay」より

 そして研究チームによればホーキング放射で放出されている粒子は、今の我々の技術水準で検出が可能であるという。南極にある「アイスキューブ・ニュートリノ観測所」でテクノシグネチャとしてのホーキング放射を観測することが期待できるというのだ。

 地球外文明が存在する可能性は高いのに、そのような文明の手がかりが皆無であるという矛盾は「フェルミのパラドックス」として知られているが、SETIをはじめ我々はこれまで間違ったテクノシグネチャを探していたのかもしれず、探すべきは人工ブラックホールのホーキング放射によって生成された高エネルギーのニュートリノやその他の粒子であるということだ。

(フェルミのパラドックスについての過去記事)
「宇宙人は宇宙の温度が下がるまで冬眠している」オックスフォード大が提唱! “フェルミのパラドックス理論”遂に解決か?

 量子コンピュータとして機能しているブラックホールを宇宙の中から見つけ出すのがどれくらい先の話になるのかわからないが、その傍らで実用的な量子コンピュータの開発を着々と進めていかねばならないのは言うまでもない。ひょっとすると量子コンピュータこそが、先進地球外文明とのコミュニケーションツールなのかもしれない。

参考:「Science Alert」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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