今秋にロシアが核兵器使用か!? “民間”軍事会社ワグネルが北海道に侵攻、集団的自衛権発動不能に…?=ジェームズ斉藤

【連載:某国諜報機関関係者で一切の情報が国家機密扱いのジェームズ斉藤(@JamesSaito33)が斬る! 国際ニュース裏情報】

ジェームズ斉藤(以下、ジェームズ):ワグネルのプリゴジンの動きがバフムトの占領後から活発化しています。たとえば、これを見てください。プリゴジンの大統領選のための選挙ポスターです(笑)。

今秋にロシアが核兵器使用か!? 民間軍事会社ワグネルが北海道に侵攻、集団的自衛権発動不能に…?=ジェームズ斉藤の画像1
ブリコジンのポスター

──えーっ、こんなものがもうロシア国内で出回っているんですか!?

ジェームズ:5月末からもうロシア国内で貼られ始めています。まだ正式にプーチンの後継者というわけではありませんが、これでほぼ確実と言っていいでしょう。

──プーチンのお墨付きなんですね。

ジェームズ:欧米の専門家の一部は「プリゴジンを蹴落とすために敵対勢力が勝手にポスターを貼った」と主張していますが、それはあり得ないと判断しています。まず、プリゴジン自身が「俺には政治的野心がない」など大統領選出馬の可能性を否定する言葉を発していませんので。2022年2月に始まったロシアのウクライナ全面侵略勃発直後の記事でもお話ししましたが、この戦争は「プーチン体制の永続化」が究極の目的で、そのために「ショイグ下ろし」と「ポスト・プーチン時代への準備段階」をやっているのが実態で、すべてはクレムリン内の権力闘争に根ざします。つまり、プリゴジンは「プーチン体制の永続化」という究極のゴールを実現するために戦場に放たれた「トロイの木馬」です。プリゴジンの選挙ポスターができているということは2024年3月にあるロシアの大統領選は本格的にポスト・プーチン時代の幕開けになるでしょう。

──前回の記事でプリゴジンが大統領候補になったと言っていましたが、まさに的中しましたね。

ジェームズ:ロシアを熟知し、フェイクまみれな情報の中からインテリジェンスを追っていけば当然の成り行きです。プリゴジンは62歳です。ロシアでいうとだいぶ年を取っていますが、世界の指導者と比較すると十分に若いですから、彼がポスト・プーチンの最有力候補なのは間違いありません。

 なにしろ、彼のバックにはロシアの大富豪のユーリ・コヴァルチュク、ミハイル・コヴァルチュクのコヴァルチュク兄弟がいます。名前からわかるように彼らはウクライナ系ですが、ゴリゴリのハザール系ユダヤ人で、しかもサンクトペテルブルク出身です。つまり、プーチン率いるサンクトペテルブルク出身のハザール系ユダヤ・マフィアからなる旧KGB閥と「同胞」であり、特にユーリがプリゴジンのスポンサーになっています。重要なのはコヴァルチュク兄弟、特にユーリは「プーチンの金庫番」と呼ばれており、プーチンの総額200兆円と言われる海外資産の管理及び運用しています。つまり、プリゴジンが新大統領になるということは、プーチンのばく大な海外資産も無事で、プリゴジンが大統領になるということはプーチンの資産防衛にもなるわけです。こういった部分を見てもプリゴジンはポスト・プーチンの最右翼だと判断できます。冷戦時代のクレムリン学は軍事パレードにおけるスターリンと側近の物理的距離等を判断基準にしていましたが、プーチン時代のロシアは「すべてはお金」ですので、資産防衛の観点が必要不可欠になります。

──金の流れを見ると一目瞭然なんですね。来年、ロシアの大統領は変わる可能性大だと。

ジェームズ:と思います。ちなみに、ポスターのコピーは「エウゲニー・プリゴジン 強い指導者、要塞に隠れるヘタレではない」と書いてあります(笑)。このヘタレとはショイグ、ゲラシモフを指しています。さきほどクレムリン関係者から聞いた話ですが、ショイグはあと半年ほどの命運だ、そうです。

──失脚すると。

ジェームズ:失脚するのか、消されるのか。この間もロシアの教育省かなんかのトップが粛清で消されてます。キューバに出張している時に腹痛を訴えてそのまま死んだんです。

──怖い国ですね、相変わらず(苦笑)。

ジェームズ:いまプリゴジンがワグネルを使ってやっているのはウクライナ侵攻ではありません。ロシア国内の権力闘争を戦場で行っているのです。バフムトを占領した時も、プリゴジンは動画で声明を出しましたが、「ショイグ、ゲラシモフ! お前たちがグズグズしているうちにワグネルが今回バフムトを占領した。本来は我々の仕事ではない。官僚組織がグズグズしているから我々がやるしかなかったんだ」と煽るのですが、そのあとに、「ここでワグネルがお世話になった人たちに感謝を述べる」と言ってプーチンの名前を出したあとに「FSBに感謝」と言ったのです。ワグネルとFSB(ロシア連邦保安庁)の関係は既に見抜いていましたが、プリゴジン自ら暴露したのは衝撃的でした。

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プーチン大統領とショイグ氏(画像は「Getty Images」より)

──だって、ワグネルってGRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)系だと。

ジェームズ:そうです。私はずっとGRU系つまりロシア軍の諜報機関に通じる組織だと言ってきましたし、実際にそうなんですよ。たとえば、プリゴジンと共同でワグネルを立ち上げたドミトリー・ウトキンはGRUの特殊部隊出身で、ナチスドイツの親衛隊SSのタトゥーを彫っているゴリゴリのネオナチです(苦笑)。しかし、プーチンとのつながりを考えれば、FSBと裏で繋がっていることは一目瞭然(プーチンはFSB長官を歴任)ですので、わざわざ自分から言うことはまあしないだろうと思っていたんです。ところが、いきなりここでFSBの名前を出したということは完全にプーチン側であることを宣言したことになります。何しろFSBとGRUは血みどろの抗争を展開している最中ですから。プーチンもバフムト占領直後にプリゴジンとワグネルの兵士に対して勲章を与えています。これでバフムトの占領はプリゴジン及びワグネルの功績だとクレムリンが認めたことになります。いまロシアではプリゴジンの株が爆上がりです。逆にショイグの株が爆下がりです。

──こういうのを見るにつけ、ウクライナ戦争って何なんですかねぇ。ロシアはどこと戦っているんですかね?

ジェームズ:今回の戦争は私がずっと言っているように国内の権力闘争に端を発するもので戦争しながら粛清を行っているのがいまの実態です。そこで登場したのがプリゴジンで、彼はロシア軍に放たれた「トロイの木馬」で、プーチンのアジェンダを推進する人です。

 昔、ソ連の赤軍というのがあってそこに政治将校、コミッサールという人たちがいたんですけど、軍を監視するためのポストです。いまのロシア軍はコミッサールの制度はなくなったんですけど、FSBが常にロシア軍の中にスパイを送り込んで、軍の将校や兵士になりすまして監視しています。しかし、ショイグがとった対抗策は「GRUのFSB化」で、2012年に彼が国防大臣になって以来GRUが配下のチェチェン・マフィアを使い国内で暗殺工作ばかりやっていました。明らかにFSBに対するメッセージでした。つまりショイグをコントロールするにはFSBが放ったスパイだけでは無理だったので、今回、プリゴジンがショイグをコントロールする任務を担いました。今回のバフムト占領の功績をもって、ショイグとプリゴジンの権力闘争にある程度の目処はつきました。

──具体的にはどうなるんですか?

ジェームズ:前述のクレムリン関係者が言った様に「ショイグはあと半年しかない」ということです。しかもこの半年というのが絶妙なタイミングで、半年後というのは今年の秋ですよね。実は今年の秋ぐらいにウクライナの全面反撃が起こる可能性がいま高くなっています。というのも西側がウクライナ軍の空軍力を鍛えているところでして。

──F16ですね。

ジェームズ:そうです。米軍関係者の情報によるとアラバマだったと思いますが、ウクライナ兵が極秘に大量にやってきてF16の訓練を受けています。ウクライナ軍はソ連製のミグやスホイに乗ってきているので西側のF16を扱うには訓練が必要です。その訓練が当初は1年くらいかかると言われていたのが2~3カ月ぐらいで終わるかもしれないという情報があって、訓練を終えて実戦配備するまでトータルで見ると半年ぐらいに短縮されました。ですから、今年の秋ぐらいに空軍力を伴う全面反撃が開始される可能性がいま言われているのです。

──ロシア軍はそれで負けるということですか?

ジェームズ:大きく後退するでしょう。なにしろ、ロシア軍はいまになってもまだ空軍力を使っていません。そんな状態のまま、ウクライナ軍がF16を投入すればロシア軍は大敗するでしょう。たぶんクリミアも取られる可能性が出てきます。

──ロシア軍はそれで壊滅しませんか?

ジェームズ:どうなんですかねぇ。この辺がこの戦争のフェイクなところで、ロシアが空軍力を出さない意味ですよね。本気で勝ちたければ、最初から空軍力を使ってますよ。そもそも戦闘というのは制空権を握ったあとに地上軍を派遣するものですから。それを制空権を握ってもいないのに戦車を出したらドローンに狙い撃ちされるのは決まってますよ(苦笑)。

──ロシアは勝つ気がないんですかね?

ジェームズ:現状では戦場における勝利よりも大事なものがあるようです。それが粛清です。クリミアを取られた責任を取る形でショイグは失脚、粛清ということになる可能性が大です。

──粛清のための戦争ですか!?

ジェームズ:国内政治の精算をウクライナの戦争でしているという、凄い話です(笑)。ウクライナはただの舞台です。真のドラマはクレムリン内で展開されています。ドラマのタイトルは「大統領の陰謀(All the President’s Men)」で、監督、製作、脚本、主演は全てプーチンです(苦笑)。プリゴジンは特別ゲストで、ショイグなどはもはや脇役になっています。なお、1976年の同タイトルの映画はリチャード・ニクソン大統領のウォーターゲート事件をネタにしていますが、「クレムリン版」の方はスケールが断然違います。

──戦争が終わらないわけですね(苦笑)。

ジェームズ:一種のショー・ビジネスですから(笑)。ロシア国民は毎日の様に連続サスペンスをみさせられているので、プーチンの支持率は爆上がりです(苦笑)。同時にサステイナブル・ウォー(持続可能な戦争)なので、ロシアの軍産複合体の株も爆上がり状態です。そして、クリミアを奪回されたら、かねてから私が言っていたもう一つの危険なことが現実味を帯びてきます。

──核兵器の使用ですか……。

ジェームズ:はい。ショイグが粛清されると同時にプリゴジンの株が急騰するのでワグネルが正規軍化するでしょう。ワグネルは民間軍事会社のステイタスを保ったままロシア正規軍の武器を持ち出すようになります。そうなるとワグネルグループが核弾頭を持つ可能性がさらに高まります。ここで肝心なのは、もしもワグネルが核兵器を使用しても「ロシアは使っていない」と言い張れることです。

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画像は「Getty Images」より

──いくら世界から非難されても、「知らない」と。

ジェームズ:言い張るでしょうね。しかも、先日、この話に真実味が増す話がありました。まず、バフムトを占領した時ですが、プリゴジンは声明の最後にこんなことを言ったんです。「最後に、ウクライナ軍よ、お前らは強い。ゼレンスキー大統領、お前の兵士はよく戦った。お前の兵士は世界で2番目に強い。ワグネルのあとに」と言ったんですよ。要は、ワグネルが1番でウクライナ軍が2番だったら「ロシア軍はどこなんだ?」ってことですよ。そして、バフムトから撤退したあとにもプリゴジンは声明を動画で出しましたが、そこで「第2の戦線を開く」と言っています。それがどこなのかはまだわかりませんが、「第2の戦線を開く」というのは民間軍事会社が本来言えることじゃないんですよ。

──いずれも自分たちがロシアの正規軍だと言わんばかりですね。

ジェームズ:ワグネルの事実上の正規軍化がもう始まっているのです。

 その前にワグネルが北海道侵略に使われる可能性もあります。民間軍事会社のワグネルが北海道に侵略してきたら、国家間の戦争における集団的自衛権を前提としている日米安保条約は発動されず、米軍は助けに来ません。自衛隊は理論上、軍法会議がないので有事の際に大量離職という形で「敵前逃亡」が可能となり、ワグネルが上陸した瞬間に退職届が殺到すると思います。そりゃそうでしょう。日頃パワハラやセクハラだらけの超絶ブラック職場なので元々士気が低く、ワグネルに捕まった場合は鉄ハンマーで頭を粉砕されたりナイフで首斬りをされるのです。そんな相手と戦うくらいであれば、「辞めた方がマシ」と思うのは自然です。その前に警察と自衛隊どちらが民間軍事会社のワグネルに対処するか揉めると思います。いずれにせよ、日本こそがプリゴジンの台頭を注視しなければならないのです。

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ジェームズ斉藤(@JamesSaito33)
某シークレットセミナー教官。某国諜報機関関係者で、一切の情報が国家機密扱い。国際ニュース裏情報の専門家。ツイッターはこちら

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文=中村カタブツ君

元『紙のプロレス』編集者。現在は認知科学者である苫米地英人先生の出版関連業務に携わっている。
著書『極真外伝―極真空手もうひとつの闘い』(ぴいぷる社)
編集『苫米地博士の「知の教室」』(サイゾー)
編集・構成『日本人はもっと幸せになっていいはずだ』(サイゾー)

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