古代エジプト人は「体液入りカクテル」でハイになっていた!? ドラッグてんこ盛りの宗教儀式とは?

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画像は「Getty Images」より

 現代の海外のイベントではアルコールだけでなく薬物が会場で配られて乱痴気騒ぎになることもあるが、これは古代から続く慣習だったようだ。実際、2500年前の古代エジプトでとある神を信仰していた人々は薬物を使用してハイになり、発酵したフルーツジュースや人間の体液を口にしていた……という事実が研究者らによって証明されて話題になっている。

 信仰対象となったのは豊穣と戦争の神ベス。フロリダのタンパ美術館に所蔵されているベス神の姿を模したプトレマイオス時代(紀元前305年)の壺から、調合された精神作用物質の痕跡があったことが判明したのである。

 古代エジプト人が宗教儀式の際に用いていたと思われる薬物はシリアンルーとエジプト産ブルーロータスを混ぜたものとされている。シリアンルーの種子は「夢のような」幻覚を引き起こすといわれており、服用した人によれば「自分の外の声が聞こえる」という。またナイル河畔に生育する精神作用のある水草であるブルーロータスは、「軽い陶酔感」をもたらし、明晰夢を誘発する。

 別の甕からは牛のDNAの痕跡も発見されたことから、発酵した牛乳にロイヤルハニーとロイヤルゼリーを混ぜたものも飲まれていたとみられている。これは幻覚作用をもたらし、性的活力を高めるエナジードリンクだったようだ。

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ベス神(画像は「Wikipedia」より)

 また、別のベスを模した甕の中からは「ヒトのタンパク質」とともに発酵した果実由来のアルコール成分が検出された。タンパク質を分析すると母乳、粘液(口腔または膣由来)、血液などの液体が含まれていたと判明。正しくトンでもない原料のカクテルを飲んでいたことが明らかになったのだ。

 2023年5月に発表された論文の中で、研究者たちは、壷の中から発見された植物や成分のいくつかは、「向精神作用や薬効があることが伝統的に証明されている」と述べている。さらに人間の体液が確認されたことから「当時の人々がこれらの儀式へ直接的に関与したことが示唆される」と付け加えている。

 なお、ベス神の姿は舌を出し、ひげを生やした男性をデフォルメした姿で描かれることが多く、時には陰茎を持った姿で描かれることもある。儀式こそ現代の我々の価値観とは相容れないものかもしれないが、ベス神は「危険から身を守ったり避けたりしてくれる、身に迫る災厄を防ぐことができる」とされている神でもあった。そのため家内安全を約束してくれる神とも考えられていたため、広く信仰されていたようだ。

参考:「Daily Star」ほか

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文=勝木孝幸(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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