「宇宙人に誘拐された」公表した父親が村八分にされアルコール依存症に… 父を信じなかった息子が後悔している理由とは?

 もしも親が“アブダクティー”だったら――。UFOとエイリアンに苦しめられていると常に口にしていた父親の正気を疑っていた息子が、昨今のUFO発言の盛り上がりで考えを改めたという。

“アブダクティー”の父親がテレビ出演

 アメリカ当局がUAP/UFO(※)の存在を公式に認めたことで、調査においても内部告発者の匿名性と安全が保証されるなど、ここ最近でUFOをめぐる状況は大きく変わってきている。

(※) UFO(Unidentified Flying Object:未確認飛行物体)は、説明のつかない航空現象をすべて含むが、現在は「宇宙人の乗り物」という意味で用いられることが多い。そのため、現在アメリカ軍では「宇宙人の乗り物」という意味合いが強くなったUFOに替えて、説明のつかない航空現象に対し、「UAP(Unidentified Aerial Phenomena:未確認航空現象)」という呼称を採用している。最初のUFO目撃談とされる1947年の「ケネス・アーノルド事件」で、実業家のケネス・アーノルドが目撃した飛行物体について「水の上を滑る円盤のように」動いていたと描写したことから、宇宙人の乗り物を「空飛ぶ円盤(flying saucer)」と言うこともある。

 先月には元米空軍将校であったデビッド・グルシュ氏が当局が墜落したUFOや乗っていたエイリアンの死体を回収して分析している事実を違法に隠蔽していると実名で告発して話題となった。

 こうした状況を受けて、今は亡き父親のUFOとエイリアンにまつわる話について考えを変えた人物がいる。

 ワイオミング州ボスラー出身の作家、デビッド・リーデル氏は牧場主であった父親が「スター・ピープル」に誘拐され身体検査をされた話をした後、冗談を言っているのだと思っていたが、デビッド・グルシュ氏の証言を聞いて考えを改めたという。

 牧場を営んでいたリーデル氏の父親、故パトリック・マクガイア氏は1981年にテレビに出演し、エイリアン・アブダクション(宇宙人による誘拐事件)体験を語ったところ、この小さな町で変人扱いされ嘲笑されたのだった。

「宇宙人に誘拐された」公表した父親が村八分にされアルコール依存症に… 父を信じなかった息子が後悔している理由とは?の画像1
パトリック・マクガイア氏 「Daily Mail」の記事より

 マクガイア氏は1981年にNBCのゴールデンタイム番組「ザッツ・インクレディブル」に出演し、そこで有名な精神科医のR・レオ・スプリンクル博士によって催眠術をかけられた。

 マクガイア氏は催眠術でトランス状態に陥っている間、自分の命を脅かしたと「スターピープル」、つまり宇宙人にどのように遭遇したかを詳細に語った。

 同氏は、自分の農場で「鼻がもがれ、舌が抜かれ、性器がなくなった」ずたずたに切断された牛を発見したことからこの物語がはじまったと語った。ワイオミング州ボスラーの牧場に「宇宙船」がやってきて、数頭の牛がビームで吹き飛ばされたというのだ。

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画像は「Pixabay」より

 メディアに出演する前から、リーデル氏は子どもの頃から、父親からUFOを甘く見てはいけないと教えられてきたという。

 リーデル氏によれば、父親は彼と兄弟たちに「スターピープル」(※)によっていつでも誘拐される可能性があると常に警告していたという。

(※)スターピープル(スターシード)は、北米大陸のネイティブ・アメリカンが交流していたといわれる「星の人」。現代では、地球外生命体にルーツを持ち、人間として地球に生まれてきた人や宇宙人と人間のハイブリッド、あるいは宇宙人そのものを指すことが多い。

 マクガイア氏によれば家の寝室にも入り込んできた宇宙人は大きな目をした「5フィート(約1.5メートル)の毛のない存在」であり、それはまさに“グレイ”であった。

 番組出演後、不幸なことにマクガイア氏は地元の町で変人扱いされて“村八分”にされたという。そして息子のリーデル氏でさえも父親は頭がおかしいのではないかと考えていたのだ。リーデル氏は父親はテレビに出るべきではなかったと振り返っている。

リーデル氏「恥ずかしいのは自分自身です」

 笑いものにされて“村八分”にされた父はその後仕事もあまりうまくいかなくなり、徐々にアルコール依存症になりかなり残念な晩年を送ったとリーデル氏は語る。マクガイア氏は2009年にがんのために67歳で亡くなった。UFOと宇宙人がマクガイア氏の人生を台無しにしたといえるだろう。

 そして現在、リーデル氏は世界が再びUFOに魅了されている状況の中にあって、生前の父を理解できなかったことを悔やんでも悔やみきれないという。

「恥ずかしいのは自分自身です」とリーデル氏は話し 「どこかの砂漠の基地にUFOや(宇宙人の)遺体、奇妙な訪問者の写真が隠されていることが判明したら、私たちは過去の嘲笑にどう対処すべきでしょうか?」と自分を含め、父親を嘲った人々を非難している。

 バラク・オバマ元大統領でさえも「説明できない」UFO映像を見たと主張している今であれば、誰もマクガイア氏の主張を一笑に付したりはできなかっただろう。

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画像は「Pixabay」より

 現在はより多くの内部告発者がUAP/UFOの目撃証言を語り、マクガイア氏と同じようなエイリアン・アブダクション体験を報告している。

 リーデル氏は地球外生命体を信じる人々をすぐに嘲笑するのではなく、この宇宙にいるのは我々だけではない可能性に対してもっとオープンになるよう進言する。

「私は父に何が起こったのかについてほとんとわかりません。私が言えるのは、何か普通ではないことが彼に起こり、その後彼はそれを理解するために残りの人生を費やしたということだけです。そして今、私は彼のことを理解するために残りの人生を費やすつもりです」とリーデル氏は「Huffington Post」に寄稿した記事で言及している。

 エイリアン・アブダクションを公言したことで残念な生涯を送ることになった父親について考えを改めたリーデル氏は、遅ればせながら父を真の意味で弔うことになったといえるだろう。UFOやエイリアン・アブダクションについて嘲笑を恐れずに公表や発言ができる環境が整いつつある中にあって、今後どのような興味深いストーリーが登場してきるのか引き続きチェックしていきたい。

参考:「Daily Mail」「Daily Star」「Huffington Post」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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