臨死体験が導いた「本当の世界」とは? 元消防士の語る壮絶な旅

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イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI)

 1994年、カリフォルニア州で消防士として働いていたビル・レッソン氏は、ある救助活動をきっかけに深刻な体調不良に陥り、一時的に心肺機能を失った。生死の境をさまよう中で、彼はこの世のものとは思えない「別の次元」へと意識が移ったという。後にその記憶が甦り、彼はその体験を語り始めた。

 レッソン氏によれば、彼が見たのは巨大で色とりどりに輝く星々が広がる世界だった。それらは単なる光ではなく、エネルギーを帯びた「存在」として彼を迎え入れたという。自分自身もまた、雲のような巨大なエネルギー体であり、言葉では表現できないほどの歓喜と自由を感じていた。

 彼はその空間を「本当の故郷」と呼び、地球での人生はあくまで“幻想”であり、魂が本来の自分を忘れてしまうよう仕組まれたゲームのようなものだと語る。彼は「すべてが愛と歓迎に満ちていた。まるで、長い旅の末に帰ってきたような感覚だった」と振り返る。

“コミュニオン”そっくりな存在たちと遭遇——別世界での出会い

 レッソン氏はこの異次元空間で、不思議な存在たちと出会った。最初に現れたのは、黒いフード付きローブをまとった3体の小柄で丸っこい存在たち。彼らはニコニコと笑いながら、「どうだった?」「何を学んできた?」と無邪気に問いかけてきた。まるで旧友に迎えられたかのようだったという。

 彼はふと、過去に観た映画『コミュニオン』に登場するエルフのような異星人を思い出した。それとそっくりだったが、目の前の存在たちは恐ろしさではなく、ユーモアと温かさを持っていた。

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画像は「Amazon」より

 その後、ふわふわとした長身の存在が現れる。蒸気や霧のように輪郭があいまいで、水中で見るかのように動きに遅れがある。その存在が近づくとレッソン氏の胸が熱くなり、喉が詰まり、あふれ出すような愛のエネルギーに全身が包まれたという。「この世のどんな感情よりも強烈で、涙が止まらなかった」と語っている。

「帰りたくない」——それでも戻された現実世界

 意識の旅の終わりに、レッソン氏は「帰る時間だ」と告げられる。彼は激しく抵抗し、「妻と両親以外、誰も自分を必要としていない」と懇願するも、その想いは届かず、一瞬のうちに周囲の存在は消え、世界は崩れ始めた。

 帰還の途中、彼は「暗く孤独で不快な空間」を通過したと語る。そこは肉体世界に近いが、極めて陰鬱な領域であり、彼は長らくその存在を認めたがらなかったという。だが、そこを抜けてようやく病院のベッドに意識が戻った。

 目を覚ました彼に看護師は冗談めかして言った。「あなた、あっちの世界で“売買契約”寸前だったけど、破談になって戻ってきたのよ」。彼はその言葉に苦笑しつつも、「なぜ戻されたのか」という喪失感に打ちひしがれた。

「死は終わりではない」——魂の旅を語る理由

 その後、彼は体験の記憶が薄れていくのを感じつつも、多くの人に自分の話を伝えようと決意した。特に愛する人を失った人々に向けて「誰も本当には死なない」「肉体を離れても魂はそのまま残り、私たちのすぐそばにいる」と語りかけている。

彼によれば、死とは“恐ろしい終わり”ではなく、“次元の移行”にすぎない。そして、自分という存在——性格や思考、ユーモアさえも——は一切失われないのだという。

 しかしこの話は、誰にでも歓迎されるわけではなかった。ある同僚から「周囲があなたのことを噂している」と静かに警告されたことで、彼は15年もの間、沈黙を守ることとなる。そして2010年、ようやく彼はこの“魂の旅”を語り始めたのだった。

 我々にとっての“本当の故郷”は、果たしてどこにあるのだろうか。たとえ魂が帰るべき場所が別にあるとしても、それでもなお、今日を生きる私たちにとって、この「幻想」もまた、かけがえのない現実である。

参考:How and Why’s、ほか

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