【戦慄】他人の“ハイになった血”を注射する若者たち ― 薬物共有「ブルートゥース」の恐怖とHIV感染爆発

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Image by Michal Renčo from Pixabay

 薬物を買う金がなくなった薬物中毒者は次にどういう行動に打って出るのか――。犯罪に手を染める者もいる一方、なんとほかの薬物中毒者の血液を注射する「ブルートゥース」と呼ばれる危険行為がフィジーで蔓延しているという。

■薬物依存者同士で血液をシェアする「ブルートゥース」とは

 若者の失業率が高く貧困問題が深刻なフィジーでは、絶望的な状況にある人々が、ハイになるために薬物依存の者同士で血液を“シェア”する「ブルートゥース(Bluetooth)」と呼ばれる危険な行為が蔓延っているという。薬物が効いている者の血液を抜き、自分に注射して間接的に薬物の効能に預かっているのである。

 当然だがこの行為はきわめて危険だ。血液型の不一致によるリスクに加え、HIV感染リスクもきわめて高い。

 人口100万人未満の南太平洋の島国であるフィジーは、今やHIV感染の中心地となっている。2014年にはHIV感染者は500人未満だったが、2024年までにその数は6000人近くにまで急増した。

「これは国家的な危機だ。しかも事態は収束する気配がない」と、フィジーの保健副大臣、ペニオニ・ラヴナワ氏は今年1月に警鐘を鳴らした。

 この危機はこの国が世界的な麻薬密売において果たしている役割と密接に関連しており、アジアのメタンフェタミン生産者と高価格市場であるオーストラリアの間に位置するフィジーは、薬物流通の格好の中継地点となっているのだ。

 地元では「アイス」として知られるクリスタル・メスは、吸入ではなく注射されることが多く、血液感染症の直接的な媒介物となっている。

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)の最近の報告書によると、フィジーで新たにHIVと診断された患者の半数が、注射針の共有によって感染したと回答している。こうした注射針の共有のうち、ブルートゥースがどれだけの割合を占めているかを示す確かなデータはない。しかし専門家は考えられているよりもブルートゥースは蔓延っていると指摘する。

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 ブルートゥースの悪習は20年近く前にタンザニアで初めてあらわれ、そこから静かに広がり、南アフリカ、レソト、パキスタン、そして最近ではフィジーや東南アジアの一部でも異なる名前で呼ばれ行われている。

 当然だがブルートゥースは直接薬物を摂取するよりも効力は弱い。それでもこの行為の蔓延は止まらない。南アフリカで行われた調査では薬物注射使用者の18%が薬物混入した血液を共有している実態が明らかになり、パキスタンでは一部の売人が薬物中毒者の血液入りの注射器を路上で販売している。

 もはや教育だけでは不十分であり、強力な介入がなければフィジーは恐怖、偏見、そして無視によって薬物危機を公衆衛生上の大惨事へと発展させてしまう危険性が多くの専門家によって警告されている。貧困問題に起因する薬物依存とブルートゥースの撲滅への取り組みは引き続き急務の課題である。

参考:「ZME Science」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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