ピラミッド最大の謎「なぜ設計図が1枚も見つからないのか」古代エジプト人が残した4500年越しのミステリー

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 古代エジプト文明が手がけたギザのピラミッドは今も多くの謎に包まれているが、その最大の謎は記録好きだった古代エジプトの文化にも関わらず、ピラミッドの設計図が1枚も発見されていないことだ――。

■ピラミッド建設に設計図は必要なかった!?

 エジプトのギザにあるピラミッドは4500年以上も前に建造された地球上で最大の石造建築物だ。しかし一つ不思議な事実がある。初代ピラミッドも大ピラミッドも、設計図、図面、文書など、ピラミッドの設計図が未だに発見されていないことだ。古代エジプト人は多くの記録を残し、税金、食料、天体、労働などについて綿密な文書を保存していたことからするとかなり奇妙なことである。

 しかし発想を変えてみると腑に落ちることがあるのかもしれない。設計図が発見されていないのではなく、ピラミッドにはそもそも設計図がなかったとしたなら……。

 ミステリー系メディア「Curiosmos」によると、ピラミッドの建設において彼らは紙の設計図を必要とせず、大きさを決めてからは作業場などで計画を立て、石膏ボード、砂、木材などに図面を描いたと考えられるという。建設半ばにはこれらの図面さえ必要なくなり、そのまま捨て置かれたというのだ。

 彼らのピラミッド建設へのアプローチは現在の我々とは異なっていたと考えられ、きわめて現場中心主義であり建築家と現場監督は同一人物で、熟練した測量士と石工によって、客観的な設計図がなくともピラミッドの建設が可能であったようだ。事前に決められたのはピラミッドの大きさだけで、あとは石のブロックを正確に切り出すことができれば、建設は半ば自動的に進んでいくのである。

 ギザ台地周辺の発掘調査で、労働者の村、道具置き場、石に刻まれた印などが見つかっているが、大ピラミッドはきわめて正確に形成されており、基部は真北に揃っており、その誤差は1度未満である。この正確さを実現するために複雑な器具は必要ではなく、天文測定器であるメルケト(merkhet)と、単純な水準器である下げ振り(plumb bobs)を駆使して正確に位置を測定してつつがなく建設を進めていたということだ。

 2013年に発見された「メレルの日記」はクフ王の時代の古代エジプトの航海日誌で、パピルスにはメレルとその乗組員の日々の出来事が記録されている。ギザの大ピラミッドの建設に関わったとされるこのメレルを含むエジプト人作業員チームが、トゥーラからギザまで川を経由して石灰岩を輸送していたのである。

 この文書はピラミッド建設の物流面について議論しており、日記には設計や計画に関する管理上の問題は一切触れられていない。ピラミッドは建設よりも石の輸送のほうが重要であったことになる。

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 ピラミッドの建設法は師から弟子へと伝えられ、弟子は実践を通して学んでいた。

 クフ王の時代にはピラミッドの石室、放水室、そして石材の運搬を習得していたことが今日の実験によって証明されており、ソリ、てこ、ロープ、銅の道具、そしてチームワークによって、少人数で大きな石材を配置することを可能にしたのだ。

 設計図は必要なかったのだが、優れた測量師、現場監督、訓練された労働者、そして作業のチェック体制が必要であった。

 エジプト人が設計図を作らなかったからといって賢くなかったわけではなく、むしろ彼らはきわめて賢く、情報とノウハウを頭の中や手順、階層構造にして蓄えていたという。

 建設は宇宙秩序であるマアト(Maat)を確立することであり、後世のために文書を保存することではなかった。ある意味では正確に切り出された石材こそが“設計図”なのだと言える。

 彼らの設計思想を知りたいなら、石を見ればわかることになる。あらゆる角度、あらゆる接合部、あらゆる線が、無言の計画の一部であり、永続的なものとして意図されていたという。したがってギザのピラミッドの設計図はこの先も発見されることはなさそうだ。

参考:「Curiosmos」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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