ピラミッドは“王墓”ではなかった?― 古代エジプトの常識を覆す「経済安定化装置」説

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 古代エジプトのピラミッドは、ファラオたちの永遠の眠りのための、壮大な墓であった――。これは、我々の多くが何世紀にもわたって信じてきた歴史の常識である。経済やインフラの発展といった副産物はあったにせよ、その主目的は、あくまで来世のためのものであったと。

 しかし、もし、それが全く逆だとしたら?もし、これらの石の巨人の主目的が「死」ではなく、現実世界、すなわち「生」にあったとしたら?

 従来の固定観念を打ち破る、ある画期的な新説が、ピラミッドがエジプト史において果たした役割を、根底から見直すことを我々に迫っている。

ピラミッドは“公共事業”だった

 経済学者であり起業家でもあるヤツェク・クシシュトン氏は、ピラミッドが墓以上の存在であった可能性を指摘する。神秘的な建造物でも、宇宙人の仕事でもなく、国家とその経済を管理するための、極めて実用的な「権力の道具」であったというのだ。

「伝統的に墓として説明されてきたエジプトの大ピラミッドは、ファラオの手にあり、経済発展を刺激し、統一後の上下エジプト間の緊張を緩和するための、一つの手段として機能していたのかもしれない」

 その証拠の一つが、ギザへの石材輸送を監督したメレルの日誌である。そこに記されているのは、労働の記録、賃金、食料配給、そして物流といった、極めて組織化された行政システムの姿だ。奴隷労働の痕跡は、どこにも見当たらない。

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ナイルの氾濫と、経済の“安全装置”

 クシシュトン氏の説の核心は、ナイル川の氾濫に依存していた古代エジプトの経済にある。ピラミッド建設は、農業ができない時期の雇用を創出し、豊作と凶作のバランスを取る、経済の「安全装置」として機能していた可能性があるというのだ。

 国家は、単に資源を分け与えるのではなく、大規模な公共事業を通じて、所得と再分配の機会を創出し、長期的な干ばつ時でさえも、社会の安定を維持していた。宗教は、その壮大な国家プロジェクトを正当化するための、一つの手段に過ぎなかったのかもしれない。

 この説は、ピラミッドを来世への信仰心だけで築かれたモニュメントとしてではなく、中央集権的な計画と資源管理によって成し遂げられた、高度な経済活動の産物として捉え直す。

 ピラミッドの真の目的は、一人の王の永遠の眠りではなく、何百万人もの民衆の、日々の暮らしを守ることにあったのかもしれない。我々が「墓」と呼んできたピラミッドは、実は古代エジプトの生命線を支える、巨大な経済安定化装置だったのかもしれない。

参考:Ancient Origins、ほか

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