なぜ世界各地にピラミッドは存在するのか?異なる文化が生み出した驚くほど似通った建造物のミステリー

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 エジプトの砂漠に、夕焼け空を背にしてそびえ立つギザの大ピラミッド。四千年以上の時を超え、その威厳を今に伝える。どっしりとした底辺から空へと鋭く伸びる姿は、古代の驚異そのものだ。しかし、この象徴的な建造物はエジプトだけのものではない。

 地球の裏側、グアテマラのジャングルではマヤ文明が築いた神殿ピラミッドが木々の上に姿を現す。彼らは儀式のためにピラミッドを築き、その階段を登った。形は似ていても込められた意味は異なっていた。さらに中国では、秦の始皇帝の巨大な墳墓が土で覆われたピラミッド型をしており、その下には有名な兵馬俑が眠る。

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 これらの建造物を手がけた人々は、互いに存在すら知らなかったはずだ。言葉も違えば、信仰する神々も異なる。それなのに、アンデスからナイルへ、サハラから長江流域まで、ピラミッドという形は繰り返し現れる。一体なぜなのだろうか?

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画像はUnsplashPaweł Wielądekより

天を目指す形:ピラミッドの合理性と進化

 ピラミッドは単なる象徴ではない。それは物理法則と、重量バランスという最も単純な論理に基づいた形なのだ。広い底面、傾斜した側面。高く積み上げるほど、構造は自然と先細りになる。石や日干しレンガを積み上げ、重力に任せれば、最も安定した形こそがピラミッドなのである。自重で崩れにくく、柱や内部の骨組みなしに何千年もの間、その姿を保つことができる。

 エジプトでは、初期のピラミッド型建造物は「マスタバ」と呼ばれる長方形の墳墓から始まった。紀元前2600年頃、ジェセル王が建築家イムホテプに命じ、マスタバを階段状に積み重ねさせたのがサッカラの階段ピラミッドで、エジプト初のピラミッドとされる。後の建築家たちはこのアイデアを洗練させ、クフ王の時代にはギザの大ピラミッドとしてその形状は頂点に達した。200万個以上もの石塊から築かれた壮大な建造物だ。

 しかし、その建設方法には未だ謎が多い。中心部の石灰岩は近くから運ばれたが、王の間(おうのま)の上部にある50トンを超える花崗岩の梁(はり)は、800キロ以上南のアスワンから運搬されたという。どうやって運ばれたのか、記録は一切残っていない。ギザの大ピラミッド建設の詳細は、考古学における最も根強い謎の一つであり続けている。

世界各地のピラミッド:多様な目的と独自のスタイル

 中央アメリカでは、マヤやアステカといった文化が階段ピラミッドを墓としてではなく、儀式の舞台として建設した。神々への捧げものや行列が行われ、頂上には神殿が鎮座した。エジプトの封印されたピラミッドとは異なり、これらは登るために設計されていたのだ。北米最大のピラミッドの一つは、メキシコのプエブラにあるチョルーラの大ピラミッドである。

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チョルーラの大ピラミッド Diego Delso, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

 アフリカでは、エジプトの南、現在のスーダンにあたる地域で、クシュ王国がメロエやナパタ近郊の砂漠に何百もの小さく細長いヌビアのピラミッド群を築いた。これらはエジプトのものより角度が鋭く小規模だったが、王族を称え埋葬するという目的は似ていた。

 そして中国。かの始皇帝の陵墓は紀元前3世紀に築かれ、低く平たいピラミッドの形をしている。今もなお未発掘だが、その下には広大な地下複合施設が存在することが示唆されている。この地域の他の皇帝陵も同様の形式を踏襲している。

偶然の一致か、それとも普遍的な論理か?

 古代エジプトとアメリカ大陸の文明が接触したという証拠は今のところ見つかっていない。広大な海が隔て、時間軸も大きく異なる。それにもかかわらず、両者はピラミッドを築いた。この類似性は長年学者たちを魅了してきたが、多くの専門家は「偶然の一致」であるという見解で一致している。

 考古学ではこれを「収斂デザイン(しゅうれんデザイン)」と呼ぶ。ピラミッドという形は実用的な問題を解決するのだ。石や日干しレンガを積み上げ、構造物を長持ちさせたいと考えるなら、重力が計画の大部分を担ってくれる。高く積み上げるほど、形は自然と先細りになり安定する。
もちろん、実際にピラミッドを建設するのは容易ではなかった。組織力、人的資源、そして長期的な計画が必要だった。重い石を動かし、所定の位置まで持ち上げ、構造のアライメントを保つことは、単なる本能をはるかに超える作業であった。

 実用性だけがピラミッド建設の理由だったわけでもない。多くの場所で、「高さ」は象徴的な重みを持っていた。山々はしばしば神聖な場所と見なされ、上へ上へと建造することで、人々はそのつながりを再現しようとしたのだ。ピラミッドは死者、神聖なるもの、あるいは儀式を、地上より高い場所へと据えた。

 その形はまた、権力の象徴でもあった。ピラミッドは際立って目立ち、遠くからでも見ることができる。支配者にとって、その視認性は権力を意味し、都市に中心を与えた。土地に自らの印を刻み、死後も長く記憶されたいと願う支配者にとって、それはうってつけの形だったのだ。

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ピラミッドが語るもの:永遠の謎と魅力

 それぞれの地域は、手に入る材料、社会の仕組み、そして信仰に基づいて、独自のピラミッドを築いた。エジプトでは墓、メソアメリカでは神殿、中国では皇帝の地下陵墓、スーダンでは王族の墓標。デザインは様々だが、広い底面から頂点へと至る基本的な形は同じだった。

 ピラミッドがなぜこれほどまでに機能したのか。自重を支える構造だから、というのが最も単純な理由だろう。しかし、それだけでは説明しきれない魅力と謎が、これらの古代建造物には満ちている。

 他にも様々な説がある。異なるピラミッド建設文化が、失われた文明からそのデザインを受け継いだのだと信じる人々もいるし、記録に残る歴史よりもずっと以前に大陸間で接触があったのだと言う人もいる。

 考古学者たちは証拠に裏付けられていないこれらの説を受け入れてはいないが、その根強い存在自体が、ピラミッドがいまだにどれほどの謎を秘めているかを示している。石でできているにもかかわらず、その本質を捉えるのは依然として難しいのだ。

「なぜピラミッドなのか?」この問いは、古代の人々が空に託した壮大な夢と、現代に生きる私たちを結びつける永遠のロマンなのかもしれない。

参考:Curiosmos、ほか

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