「呪いの石」を返却した観光客 ― 国立公園の“石の祟り”と、その裏に隠された環境破壊

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「このを持ち帰ったせいだ…」

 スペインの国立公園から、軽い気持ちで持ち帰った数個の火山岩。しかし、その記念品が、人生を破滅へと導く「呪いの石」だったとしたら…?

 スペイン領カナリア諸島にあるティマンファヤ国立公園に、ある日、一通の奇妙な小包が届いた。中に入っていたのは、数年前に盗まれたはずの火山岩と、恐怖に満ちた一通の手紙だった。

「深刻な悲劇に見舞われた」―呪いを恐れた男の告白

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ティマンファヤ国立公園 By Miriela RodríguezOwn work, CC BY-SA 3.0 es, Link

 数年前、ティマンファヤ国立公園を訪れた一人のドイツ人観光客。彼は、その珍しい火山岩を記念に持ち帰るという、決して許されない過ちを犯した。しかし、その軽率な行動が、彼の人生に暗い影を落とすことになる。

 公園に送られてきた手紙には、こう綴られていた。

「火山岩をその場所から持ち去ると、不運に見舞われるという伝説を聞いたことがあります。そして、恐れていたことが、私の身に起きてしまったのです」

 手紙の中で、彼は自らが「深刻な個人的悲劇」に見舞われたと告白。具体的な内容は明かされていないが、彼はその原因が、あの時盗んだ火山岩の“呪い”にあると確信していた。そして、呪いを解くために、彼は盗んだ石を公園に返送してきたのだ。手紙には、石を元の場所に戻してほしい、という切実な願いも添えられていた。

石の祟りよりも恐ろしい、本当の“呪い”

 公園側は、この奇妙な出来事をSNSで公開し、観光客の安易な行動に警鐘を鳴らした。この公園から石や砂を持ち去る行為は、単なる迷信や祟りの問題ではない。それは、繊細な生態系を破壊し、取り返しのつかない環境ダメージを引き起こす、れっきとした犯罪行為なのだ。

 ティマンファヤ国立公園の火山岩は、地衣類や菌類、昆虫といった、小さな生物たちの貴重な住処となっている。石が一つ持ち去られるだけで、そこに住んでいた無数の生物が命を失い、さらにその生物を捕食していたトカゲや鳥たちの食料も奪われる。公園関係者は、これを「壊滅的なドミノ倒し」と表現する。

「その石は、あなたの飾り棚の中では何の意味も持ちません。それはお土産でも、ペンダントの材料でもない。それは、この島の生命と文化を支える、自然そのものなのです」

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By MiljenkoSuljicOwn work, CC BY-SA 4.0, Link

空港で押収される大量の“呪いの石”

 ティマンファヤ国立公園では、石や砂の持ち出しに対して、最大3000ユーロ(約53万円)の罰金を科している。空港では、スーツケースから大量の石や砂が押収されるケースが後を絶たないという。

 呪いを恐れ、石を返してきたドイツ人観光客。彼の身に起きた「個人的な悲劇」が、本当に石の祟りだったのかはわからない。しかし、一つだけ確かなことがある。自然から何かを盗むという行為は、巡り巡って、我々自身の未来を盗むことと同義なのだ。そして、その“呪い”からは、誰一人として逃れることはできないのである。

参考:Coast to Coast AM、ほか

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