56歳の息子が「82歳の母親」に変装して役場へ… 年金詐欺の裏で隠されていたミイラ化した遺体

イタリアの小さな町で、映画『ミセス・ダウト』を彷彿とさせる、しかしはるかに不気味で悲しい詐欺事件が発覚した。
56歳の男が、亡くなった母親になりすまして年金を不正受給していたのだ。彼は母親の遺体を自宅に隠し、完璧な変装をして役場を訪れていたが、その奇妙な違和感が職員の目に留まり、恐るべき真実が明るみに出ることとなった。
母親の死を隠し、年金を着服
事件が起きたのはイタリア北部、マントヴァ近郊のボルゴ・ヴィルジリオという町だ。かつて看護師として働いていたが無職となっていた56歳の男は、2022年に82歳で亡くなった母親、グラツィエラ・ダッローリオさんの死を当局に報告しなかった。
男は母親の遺体をシーツに包み、寝袋に入れて自宅の洗濯室に隠蔽。その一方で、母親の年金や所有する3軒の家の収入など、年間約4万7000ポンド(約900万円)もの大金を受け取り続けていた。生活費を確保するために母親の死を利用した、あまりに冷酷な犯行だった。
完璧を目指した「ミセス・ダウト」作戦
犯行を続けるため、男は大胆な行動に出る。母親の身分証明書を更新するため、自ら女装して役場に現れたのだ。
彼は口紅を塗り、ファンデーションで肌を整え、ネイルまで施した。さらに母親が愛用していた真珠のネックレスやイヤリングを身につけ、髪型まで母親に似せてカットするという徹底ぶりだった。地元メディアはこの変身ぶりを、ロビン・ウィリアムズ主演の映画になぞらえて「ミセス・ダウト風の変身」と報じている。

違和感が見破った嘘
しかし、役場の職員は騙されなかった。ロングスカートに身を包み、甲高い声で話す「グラツィエラ」に、職員はすぐに違和感を抱いた。
「近くで見ると首が太すぎたし、シワの感じも奇妙でした。手の皮膚も80代女性のものには見えなかったのです」と、ボルゴ・ヴィルジリオのフランチェスコ・アポルティ町長は語る。職員が警察に通報し、提出された写真と実物を比較した結果、なりすましが発覚した。
警察が自宅へ急行すると、洗濯室からグラツィエラさんのミイラ化した遺体が発見された。司法解剖の結果、死因はおそらく自然死と見られているが、男は遺体隠匿と詐欺の容疑で逮捕され、現在捜査が進められている。
町長は「非常に奇妙で、そしてとても悲しい物語だ」とコメントしている。金のために肉親の死さえも利用したこの事件は、地域社会に深い衝撃を与えている。
映画のミセス・ダウトは家族への愛のために変装したが、彼が演じたのは強欲という名の悲劇だったようだ。
参考:Daily Star、ほか
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊56歳の息子が「82歳の母親」に変装して役場へ… 年金詐欺の裏で隠されていたミイラ化した遺体のページです。ミイラ、詐欺、イタリア、変装などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで