ホロコースト生存者が犠牲に… オーストラリア・ボンダイビーチ銃乱射事件の悲劇

12月14日(日)、オーストラリア・シドニーのボンダイビーチで発生した銃乱射テロ事件。この悲劇で、ナチスによるホロコーストを生き延びたアレックス・クライトマンさんが犠牲者の一人となったことが明らかになった。
アレックスさんはこの日、ハヌカ(光の祭り)の初日を祝うイベントに参加するため、妻のラリサさんと共にビーチを訪れていた。しかし、楽しい祭典は一転、悪夢へと変わる。銃声が響き渡り、逃げ惑う人々の中で、アレックスさんは背中を撃たれて帰らぬ人となった。
Holocaust survivor killed while shielding wife from Bondi Beach terror attack https://t.co/ZF5OYTN6si pic.twitter.com/FODsMHTvCw
— New York Post (@nypost) December 14, 2025
妻を守るために身を挺した最期
妻のラリサさんは現地紙に対し、「私たちは立っていましたが、突然『ドーン』という音が響き、周りの人たちが倒れました」と当時の恐怖を語った。彼女によれば、その時アレックスさんは彼女の後ろにいたが、とっさに身を起こして彼女を守ろうと寄り添ってくれたという。
アレックスさんとラリサさんは共に第二次世界大戦末期に生まれ、ホロコーストを生き抜いたサバイバーだった。二人はウクライナからオーストラリアへ移住し、57年間連れ添ってきた。かつてナチスの迫害から逃れ、安住の地と思われたオーストラリアで、最愛の夫を反ユダヤ主義的なテロで奪われたラリサさんの悲しみは計り知れない。

5人の子供を持つラビも犠牲に
この卑劣な攻撃で命を落としたのはアレックスさんだけではない。イベントの主催者であり、5人の子供を持つイーライ・シュランガー教区長(ラビ)も犠牲となった。彼は自身の呼びかけで集まった友人や信者たちと共に祭りを祝っていた最中に、凶弾に倒れた。
警察の発表によると、このテロ事件による死者はアレックスさんやシュランガー教区長を含め現時点で15名に上り、29名が負傷して病院で治療を受けている。実行犯の一人は警察によって射殺され、もう一人は重体で拘束されているが、動機や詳細な背景については依然として捜査が続いている。
平和と光を祝うはずだったハヌカの日に起きた惨劇は、オーストラリア国内だけでなく世界中に衝撃を与え、深い悲しみを広げている。
長い旅路の果てにたどり着いた平和な日常が、一瞬にして奪われてしまった。ホロコーストを生き抜いた彼の最期が、愛する人を守るための崇高な姿であったことを私たちは忘れてはならないだろう。
参考:Daily Star、ほか
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊ホロコースト生存者が犠牲に… オーストラリア・ボンダイビーチ銃乱射事件の悲劇のページです。テロ、オーストラリア、銃乱射事件などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで