プレイした若者が次々と倒れ、黒スーツの男がデータを回収していく…… アメリカ最恐のビデオゲーム都市伝説「ポリビアス」の謎

1980年代初頭、米オレゴン州ポートランドのゲームセンターに突如現れた謎のアーケードゲーム「ポリビアス」とは――。CIAの極秘の洗脳実験「MKウルトラ」の一部であったのか。それとも根も葉もない捏造された都市伝説なのか――。
■謎のレトロゲーム“ポリビアス”とは
巷の言い伝えによると、1981年10月に「ポリビアス(Polybius)」というタイトルのアーケードゲーム筐体が、米オレゴン州ポートランド郊外のいくつかのゲームセンターに少数 設置された。筐体は完全に黒色で、装飾的な印刷は一切なく、スタイリッシュな文字でゲームタイトルが表示され、標準的なブラウン管スクリーンを備えていた。
1981年11月、主に10代の若者であった「ポリビアス」の常連プレイヤーたちは、ゲームセッション直後に、激しい頭痛、前向性健忘、夜驚症、幻視といった重篤な神経症状を発症し始めたという。
1981年11月末頃、目撃者によると黒いスーツを着た男たちがゲームセンターに入っていくのが目撃されている。彼らはゲーム機からコインを回収するのではなく、「ポリビアス」の筐体の背面を開けて機器を接続し、店員にはお構いなしに勝手にデータを収集していたという。
1981年12月某日、一夜にして ポートランドのゲームセンターから「ポリビアス」のゲーム機がすべて撤去された。実物、プリント基板(PCB)、ソースコードなどが中古市場や個人コレクションに姿を見せることもなかった。
ビデオゲーム史の専門家でアナリストのスチュアート・ブラウン氏と研究者のキャット・デスピラ氏による調査によると、「ポリビアス」という名前が初めて文献に登場したのは1981年ではなく、実は2000年代初頭であることが報告されている。

2000年にアーケードゲーム機コレクターのための共同データベースである「coinop.org」にアーケードゲーム「ポリビアス」の説明ページが匿名で作成された。このページにはリリース日が1981年、開発者名が「Sinnesloschen」(ドイツ語で「感覚の除去」を意味する単語のスペルミス)であること、てんかん発作に関連する公衆衛生上の理由でゲームが撤回されたことが記述されていた。
2003年9月、ゲーム専門誌『GamePRO』が 、ビデオゲームの偉大な謎に関する特集記事の中で、「ポリビアス」の紹介にページを割き、この伝説を専門コレクターの世界から一般の人々の世界へと広めた。
「ポリビアス」にまつわる一連の言説とは何だったのか。
1980年代初頭、アーケードゲーム機市場は莫大な資金の流れを生み出し、その多くは銀行の追跡を逃れていた。FBIはポートランドの複数のアーケードゲーム機オーナーが、これらの事業を地元のマフィアの資金洗浄や違法賭博機の運営の隠れ蓑として利用している疑いがあるとして、現地捜査を開始した。
数カ月にわたり、私服の連邦捜査官が複数の施設の端末を検査し、内部のコインカウンターを撮影し、ゲーム機に監視装置を設置した。これらの場所に頻繁に出入りする若いゲーマーにとって、政府捜査官が機械の内部機構を操作する光景は、秘密諜報員が行動データを収集しているという都市伝説の視覚的な根拠となったのだとフランス語メディア「Mysterium Incognita」の記事は指摘している。
都市伝説によれば「ポリビアス」は、深い催眠状態や高周波のサブリミナルなテキストメッセージまたは視覚メッセージを引き起こすことができる、高速で動く幾何学的図形を作り出したとされている。
1981年にポートランドのゲームセンターでは実際に不眠不休でゲームを続けた十代の若者が倒れたり、気を失ったりする事故が起きているのだが、プレイしていたゲームは「ポリビアス」ではない。これらの事故は地元メディアで広く報道され、アーケードゲーム機のプレイと、神経学的または身体的な病理との関係についての懸念を当時の人々に与えたという。
電子工学の観点から見ると、当時のコンピューティング能力では、古典的な光過敏性てんかん発作を超える脳内化学に永続的な変化を引き起こすのにじゅうぶんな視覚刺激を生成することは技術的に不可能であるという。
2006年、クリスチャン・トーマス・エスタブルックという人物(「サイバーヨギ」という偽名を使用)が「ポリビアス」に関する具体的な情報を持っていると主張した。

さらに2007年には、アメリカのビデオゲーム開発会社「Rogue Synapse」が「ポリビアス」を再現したと称するPCゲーム「Polybius」をプログラミングして無料で公開した。このゲームはレトロゲームの流行の中で頻繁に共有され、ユーザーに時代を無視した誤った視覚的証拠を提供することで、この都市伝説をさらに強固なものにしたという。
「ポリビアス」事件はレトロビデオゲームのリバイバルの中で起きたビデオゲームファンの懐古趣味とロマンに則して捏造された現象だったのだろうか。1990年代後半にインターネット上で始まったこの都市伝説は、1981年秋にポートランドで実際に起きた健康被害、ニュース記事、警察の作戦に都合よく融合し、見事に花を咲かせたファンタジーだったのかもしれない。
参考:「Mysterium Incognita」ほか
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2024.10.02 20:00心霊プレイした若者が次々と倒れ、黒スーツの男がデータを回収していく…… アメリカ最恐のビデオゲーム都市伝説「ポリビアス」の謎のページです。都市伝説、メン・イン・ブラック、MKウルトラ、ゲームセンター、ビデオゲームなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

