バッキバキに剥き出しの“東京”を撮る写真家・新納翔! 圧倒的な都市の“核”を捉えた写真集『PEELING CITY』を語る!

 東京のドヤ街・山谷に7年間住みながら“日雇い労働者の街”を撮り、その後、警備会社に約2年間勤めながら移転問題に揺れる築地を中から撮影した写真家・新納翔が、10年間の集大成となる新たな写真集『PEELING CITY ― 都市を剥ぐ』(ふげん社)を発表した。1月25日より吉祥寺のbook obscuraにて『PEELING CITY』の写真展(詳細はコチラ)も行われている。

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写真集『PEELING CITY ― 都市を剥ぐ』(ふげん社)


 およそ10年にわたって東京を中心に彷徨する中、新納氏が出会ってきた光景をバキバキにコントラストが強い重厚なタッチで切り取ったイメージ群は、普段目にしているはずの都市景でありながらも不穏な異物感を醸し、これらの写真は東京五輪後の姿を表現しているようにもみえる。『PEELING CITY』は新納氏にとってどのような作品集なのだろうか? 写真集が生まれた背景や、現在の東京をどう見ているかについて伺った。


■拾い集めた断片から浮かび上がる現代の都市

『PEELING CITY ― 都市を剥ぐ』に収録された写真は、撮影場所、撮影年月日がデータとして巻末に記載されていながらも、場所や時を特定可能なものが少ない。このスタイルこそが新納さんにとって「一番正直な都市のスナップ集」なのだと言う。

新納翔(以下、新納)「『PEELING CITY』は都市にある物や時間を等価に同一視しているシリーズなんです。山谷みたいにおじさんたちがいて背景があって…と、いかにもな風景を集めるのではなく、都市を均等化して見たうえで浮かび上がってきた“核”らしきものをセレクトしました。『山谷』とか『築地』っていうくくりを作るのはもう古臭い気がするんですよ。『山谷的なもの』も『築地的なもの』も都市に拡散していて、表層を剥げばそこかしこに存在する。

 また、山谷や築地などメジャーな土地に絞って作品化してきた中で、こぼれ落ちていった写真たちがありました。例えば、2007年から2014年までドヤで働きながら山谷を撮っていたんですけれど、その1km先の、山谷とはくくれない場所がそれを僕は『アラウンド景』と呼んでいるのですが、こぼれ落ちた写真がそれにあたる。『PEELING CITY』はそういう“アラウンド景”を集めた写真集でもあるんです」

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