宮殿の踊り子はオネエだった!? 最新テクノロジーが解き明かすミイラの謎
ダンサーのミイラは女性用の棺に納棺されて、1835年にイギリスの大英博物館に到着した。
かつては鮮やかなピンク色を放っていたであろうスカート(敷布)を身に纏い、ふくよかなバストまであった為、長い間誰もが女性だと疑いを持たず、博物館のガイドブックにも『女性ダンサー』と記載されていた。
ただ、ミイラの顔には髭の模様が描かれていたため「女性のはずなのに何故?」という疑問は持たれていたが、今までその性別が疑われる事はなかったのである。
そして今回、英紙「Daily Mail」が報じたところによると、このミイラの本当の姿がCTスキャンによって明らかになった。なんと、これまで女性だと信じられていたミイラが、実は男性だったということ、そして「彼」の盛り上がった胸や腿は、意図的に布を何枚も重ねていた可能性があるということが判明したのだ。さらに、この男性は少なくとも20歳以上で、身長168cmほど、そして何故か5本もの歯に損傷があり、腫れもひどかったようだ。
大英博物館の「古代エジプト及びスーダンエリア」を担当する学芸員ジョン・テイラー氏は、
「これは世界でも非常に稀なケースです。ミイラは皮のベルトとリネンの紐も身につけています。これは装飾の一部であるのですが、何を象徴しているかは不明です。ただ、過去の文献内にあるエジプトの踊り手に関する叙述を見ると、類似のものがあるので、このミイラは踊り手だったと推測しています」
と語り、生前の「彼」が踊り子としてかなり高い地位にあった可能性があると指摘する。
■謎に満ちたオネエのミイラ
元々今回のミイラは、1820年代に在エジプト英国領事を務めたヘンリー・ソルト氏の古代エジプトコレクションのひとつであり、後に大英博物館がオークション購入したものだ。古代遺跡都市テーベの墓から見つかったとされているが、証拠となる文献は失われ、定かではない。
棺には紀元前1300~1200年との表記があったが、テイラー氏によると、おそらく埋葬の際に棺を再利用されたか、19世紀のアンティークディーラーが高価な棺を組み合わせて、より高く売れるよう図った可能性があるようだ。実際は、エジプトがローマ帝国の支配下に置かれていた西暦200年前後のものだと考えられるという。
ちなみにミイラの装飾品からは、女性の名前である『Mutemmenu』の記述も見つかっている。しかし、実際は男性であった彼の、本当の名前は謎のままだ。
私たちの想像を掻き立てるこのオネエダンサーのミイラは、現在、大英博物館で開催中の「古代展」の目玉として一般公開されている。開期は今年の11月30日まで。ロンドンを訪れる予定のある方は、彼に会いに行ってはいかがだろうか。
(文=Maria Rosa.S)
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