クラゲこそがエイリアンだった!? 脳を3日半で完全再生、“特異な”神経系が定説を覆す!!
■3日半で脳を完全再生! 期待される医療への応用
今回の“エイリアンの発見”は、今後の医療にも大きな貢献を果たすのではないかと期待されている。それというのも、ある種のクラゲは、自分の脳を失ってもたった3日半で完全に再生できる能力を備えていることがわかったからである。また研究チームの別の実験では、カブトクラゲのある個体が、脳の完全再生を4度も記録したということだ。
「この発見はアルツハイマーやパーキンソン病といった神経変性疾患の治療に新たな道を切り開くかもしれません」と、モリツ氏は医療への応用を示唆している。
セロトニン、ドーパミン、アセチルコリンなどの化学物質は、生物の体内で神経をコントロールするために用いられているが、驚くべきことに、クラゲの体内ではこれらの化学物質は一切使わていないという。その代わりに、クラゲは恐らくペプチドやグルタミン酸を用いて神経を刺激し、遺伝子情報を複製し、別種の電気的シナプスを形成していると考えられている。
「我々はこれまで、生物の神経システムをあまりにも単純に考えていました。この世には全く別の神経システムで動き、全く別の脳組織をもつ生物がいることが分かったのです。今後医療への応用がさなれ、パーキンソン病や記憶障害の進行を遅らせることだけではなく、脳機能そのものを完全に回復できることになれば素晴らしいですね」(モリツ氏)
従来の生物学の常識を覆しかねない発見が、これまでノーマークだった(!?)海の中のクラゲからもたらされたのだ。人類にとって、宇宙と同じく海も謎に満ちた存在といわれているが、深海の奥にはまだまだ我々の知らない“エイリアン”が生息しているのかもしれない。
(文=仲田しんじ)
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