カーペットを貪る幼女!! 異常な食欲を抑えられない奇病「パイカ」とは?
食の好みは千差万別。年齢や環境によって変化することもある。しかし世界を見渡せば、常識では考えられない自らの食嗜好に、日々悩まされている人もいるのだ。今回は、英国発「カーペットを食べる幼女」の話題をお届けしよう。
今月6日、英紙「The Daily Mail」が報じたところによると、話題の幼女とはケンブリッジシャー州のマーチという街に暮らすジェシカ・ナイトちゃん(4)。母親ケリー・ウィルさん(36)が初めてジェシカちゃんの不思議な嗜好に気づいたのは、今から2年前のことだった。
「本当にショックでした。ジェシカの部屋のカーペットを持ち上げたら、(スポンジ状の)下敷きがごっそりなくなっているのですから」
「途方に暮れてしまいましたよ。ジェシカにいつも何かをさせることで、食べる隙を与えないようにしたのですが、それでも何とかして食べようとするのです」(ケリーさん)
しかも、ジェシカちゃんが食べたがるものはカーペットだけではなかった。ソファの中綿やアームチェアの座面などの軟らかいもの、さらに砂やセメント片まで口へと運ぶ様子が幼稚園教諭たちに目撃されたのだ。当然、両親はジェシカちゃんの異常な食欲を抑えようと医師のもとを訪ねる。そして下されたのは、彼女が「パイカ(異食症)」であるという診断だった。
「パイカ」の患者は、栄養価が含まれないものに対して食欲を感じてしまう。原因は栄養不足・ストレス・脳の異変などいくつかあるが、自閉症や学習障害を抱える子どもや、妊婦などに比較的多く見られるという。患者が食べたがるものも、土・ガラス・紙・洗剤など多種多様だ。ちなみに、食べてしまった異物は無事に排出される場合もあるが、嘔吐・腸閉塞・窒息・中毒など、命にかかわる事態も引き起こしかねない。
さて、ジェシカちゃんを診察した専門医は、「彼女が自ら衝動を抑え込み、食べ物を意識的に選別できるようになる6歳頃までは何もできない」と、現段階では実質的に治療が不可能であると告げた。そこで家族は、止むを得ず、ある奇策を実行しているという。なんと、カーペットの小片が入ったポーチを故意にジェシカちゃんに渡すことで、1日に食べてもよい量を制限しているというのだ。
「ジェシカが(有毒物質が含まれていない)カーペットの下敷きを食べてくれるほうが、まだマシだと考えています。これを禁止したら、化学物質が含まれているものを食べ始めてしまうかもしれません」(ケリーさん)
現在のジェシカちゃんは、自らの食欲の特異性に気がついており、人にどう思われるか心配しているようだ。カーペットを食べるときは、「同じことをしてほしくないから」と妹のジェニファーちゃん(3)を部屋から追い出すという。4歳の幼女がここまで気を遣って生きなければならないとは、なんとも切ない話だ。ジェシカちゃんの症状を改善する治療が1日でも早く開始されることを願ってやまない。
(編集部)
参考:「The Daily Mail」、ほか
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