老化スピードの個人差がヤバすぎる! 早い人は●●倍のスピードだった?
映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』をご覧になったことがある人も多いかもしれない。ブラッド・ピット扮する主人公が、しわくちゃな老人の身体でこの世に生を受け、年を経るごとに若返ってゆくという数奇な運命を描いた作品だ。人生を逆さまに生きてゆかねばならない彼を見ていると、愛する人と同じリズムで老いけることがどれだけ幸せなことなのかと痛感させられる。そして、できることなら一緒にゆっくり年を取っていけたらと――。だが、自分とパートナーの「年齢の重ね方」に差があることに気づいている人は結構いるはずだ。
■若年時代から12年間にわたって老化を調査
科学誌「The Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」は、老化には個人差があり、たとえ同い年でも、ある個人は別の個人と比較した時、3倍の速さで老け込むというショッキングな報告をしている。
この研究は「ダニーデン・スタディ」と呼ばれ、ニュージーランドのダニーデンという町で1972年~73年に生まれた954人の男女を対象に、彼らの実年齢と生物学的年齢を比較したときの老化スピードを追跡調査したものだ。
「ほとんどのエイジング研究は高齢者を対象にしています。ですが、もし我々が老化による病気を防ごうと考えるなら、若年者がどのように老化していくかをリサーチすることから始めるべきなんです」こう語るのは、この研究を実施した米ノース・カロライナ州にあるデューク大学「加齢・人間発達研究センター」のダン・ベルスキー博士だ。
調査は26歳、32歳、38歳時点で行われ、被験者は腎臓、肝臓、肺、免疫システムの働き、心肺機能等18項目を測定。その結果、38歳時では生物学的年齢が28歳~61歳のひらきがあらわれるという、驚きの結果となった。まだ30代なのに60過ぎと烙印を押されたら、立ち直れそうにない気がする。
「中年になる前にすでに『生物学的に老いが進んでいる』個人は、身体の不調を訴えたり、認知力も低下、脳も衰えている。また、体力に自信がない者は、見た目も老けている」と、ベルスキー博士は話す。なんとも切ない話だ。
しかし、これら老け込みの原因はどこからくるのだろう? 研究チームによれば「喫煙や深刻な精神的疾患などの可能性」を調査中とのことだが、老け込んでしまったから体調が悪くなるのか、身体にガタがきているから老け込むのか、いずれにしても健康第一ということだろう。
同研究チームのディレクター、リッチー・ポールトン教授は、ニュージーランドの情報サイト「Stuff.co.nz」で、2050年までに80歳以上の世界人口は4億人に迫ると語っている。願わくば、エイジング研究を通して健康寿命を延ばし、世界規模での医療費削減に役立ててもらいたいものだ。
(文=佐藤Kay)
参考:「News.com.au」、「Stuff.co.nz」、「The Dominion Post」ほか
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