二日酔い、反抗期、演劇鑑賞… 古代エジプト人の日常は現代と変わらないことが判明(最新研究)
モーセは、旧約聖書の『出エジプト記』に登場する、紀元前13世紀ごろの古代イスラエルの民族指導者である。モーセの時代の人々の生活は辛く険しいようなイメージがあるが、実は現代人と同じく二日酔いに悩んだり、思春期の子どもの反抗に手を焼いたりしていたという文献が発見された。
■古代エジプトの庶民の生活が綴られたパピルス
1897年、ビクトリア朝考古学者のバーナード・グレンフェル博士とアーサー・ハント博士がエジプトを旅し、カイロ市から約193キロにある都市オクシリンコスにやってきた。
その時彼らは、オクシリンコスにある古代エジプトの堆積地から50万枚ものパピルス(古代エジプト人が植物を材料としてつくった紙状のもの)を発見した。彼らはパピルスを注意深く手で掘り出したが、その時代、パピルスの歴史的価値はまだ認められていなかった。そのため地元民は、パピルスを肥料として利用していたという。そこで彼らはパピルスを守るために、人々から1枚単位の値段で買い上げることにした。しかしより高い対価を受け取るために、大きなパピルスを小さく破り、枚数を稼がれたケースもあったらしい。
パピルスには当時の人々の生活を彷彿させるような、さまざまな内容が書かれていた。それは溺れた奴隷少女の死体の検死報告や二日酔いの治療法という日常的なものから、モーセ劇の脚本や紀元前417年初演とされるエウリピデスの悲劇『アンドロメダ』の脚本の断片まで、多岐に及ぶものであった。ちなみにその時代の二日酔いの治療法は常緑小低木の葉を糸に通し、それを首にかけるという方法であったらしい。
■市民科学プロジェクトで解読が進む
1897年に発見され収集された50万枚ものパピルスではあるが、人手不足のために100年間でわずか2パーセントしか解読されていなかった。そこで英オックスフォード大学は、パピルス研究の進歩のために、誰もが貢献できる市民科学プロジェクト「the Ancient Lives」を立ち上げた。
パピルス・プロジェクト・リーダーのオックスフォード大学物理学部クリス・リントット博士は、「我々はギリシャ語を知らなくても、パピルス解読が可能なサイトを作り上げました。そのウェブサイトのパターン認識ツールが、シンボルを文字と自動的に合致させるのです」と語る。それらの記号は言葉に変換され、巨大なデータベースに自動的に保存されるというシステムだ。このサイトの主開発者兼デザイナーである、オックスフォード大学物理学部のウィリアム・マクファーレン博士は、現代テクノロジーの進歩によって、個人的かつ伝統的な手法である手書きが読解可能になったと説明する。
このプロジェクト・チームはパピルス研究者、英国エジプト学会、そしてオックスフォード大学物理学部の混成であるが、彼らは各パピルスを調べ、書き写すのに平均3人から5人のボランティアが必要だと考えた。また個人のミスを避けるために、多数決で答えは選ばれる仕組みにした。このプロジェクトが発足したことにより、すでに何千ものパピルスが解読されたのだ。
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