推理作家・折原一の“骸骨だらけの仕事部屋”を完全再現! 暗黒画家・石田黙の正体も判明 『メメント・モリ』展がヤバい

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《白い静物画(ピーマン)》

「2002年、この《白い静物(ピーマン)》をネットオークションで見つけて、でも、石田黙という名前で検索しても全然わからない。誰だろう、これ? 最初はそんな感じだったんですよ。14,700円で落札しました。でも、それからも石田黙の作品がネットにどんどん出てくるんですよ。誰か手放したか、結構、安かったので集め始めたんです」

――そこから小説にしようというになったきっかけは?

「しばらくして、もう死んでいるということがわかったんです。身内を探したら、未亡人にたどり着いて、彼女を通じて、さらに絵を買ったりしていくうちに、その過程が面白くて、本を書いちゃったんです」

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石田黙の部屋

――実在の石田黙はどんな人だったんでしょうか?

「70年代の7、8年間はずっとこういう感じ絵を描いているんですよ。本人は無口な人だったんで、みんなに黙さんと呼ばれて、それを雅号にしちゃったんです。1923年生まれで、戦争にも行っています。絵で食えなくて、かなり苦しんだ時期もあるみたいで、晩年は抽象画みたいのを描いていて、1984年に癌で亡くなっています」

――折原さんがコレクターとして石田黙さんを発掘したということが素晴らしいです。

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石田黙の部屋

「確かに本に書いて、評価は上がりましたね。たまに作品がネットに出ても高くなっちゃったんですよ。謎の作家のままでいて欲しいんだけど。1970年代って、他にも面白い作家がいるんだけど、検索しても出てこない。90年代後半以降じゃないと、ネットがなかったから、そういう理由で埋もれちゃった作家はまだまだたくさんいると思います」

――個人のコレクションですが作品点数も多く、骸骨と石田黙と、それぞれテーマがはっきりしていて、作品に入りやすかったです。

「そう言ってもらえると嬉しいです。私のコレクションを画廊で見せられるのは、これが最後かもしれません。これ逃すともう見れないですから、より多くの人たちに見に来て欲しいです」

(取材・文=ケロッピー前田)


【展示情報】

折原一コレクション『メメント・モリ』 ~ 死の部屋、そして黙の部屋~

会期: 2018年10月3日(水)~10月21日(日)
会場: 銀座ヴァニラ画廊
住所: 東京都中央区銀座8-10-7 東成ビル地下2F
開館時間: 平日12:00~19:00 土日祝12:00~17:00 会期中無休
展示室A: ヴァニタスコレクション
展示室B: 石田黙コレクション
入場料: 1,000円(パンフレット付) ※展示室AB共通
オフィシャルサイト: https://www.vanilla-gallery.com/archives/2018/20181003ab.html


【展示概要】

ミステリ作家 折原一の驚異のヴァニタス・コレクション 沈黙と死の部屋。解禁。

銀座4丁目、今はなき文春画廊の地下1階にひときわダークな空間が広がっていた。私はそこで石田黙展(2007年)と骸骨絵展(2011年)の2つのコレクション展を開き、一部の熱狂的な愛好家に支持していただいた。

石田黙は1970年代の数年間、死の世界を思わせる黒と白の幻想的な絵をひたすら描き、80年代の初め、静かにこの世を去っていった。世間的にはほとんど無名だが、確かな画力を持ち、その静謐な世界に魅力を感じる人は多い。一方の骸骨絵展は、収集のきっかけとなったビュッフェの作品から始まり、三浦明範の祭壇画、古吉弘のヴァニタス画、アメリカの死刑囚ジョン・ウェイン・ゲイシーのピエロ画に至るまで、広い意味で死を暗示する展示会だった。

その最後の展示から7年がたち、2つのコレクション展をもう一度見たいという要望が出てきた。そこで、このたび、同じ銀座のヴァニラ画廊にて2つの展示会を合体させ、新たに加わったコレクションを加えて、よりダークな展示会を開くことになった。地下2階の薄暗い空間に広がる「生と死の境目」に身をおいて、生のはかなさ、虚しさを体感してほしい。(折原一)


折原一(おりはらいち)

埼玉県生まれ。早稲田大学卒。 JTBの出版部門を経て、1988年『五つの棺』(東京創元社)で作家デビュー。1995年、『沈黙の教室』(早川書房)で日本推理作家協会賞受賞。20年ほど前から仕事場を飾るための美術品の収集を始める。趣味が昂じて幻の画家・石田黙をテーマにした美術ミステリー『黙の部屋』(文藝春秋)を書き、文藝春秋画廊地下にて「石田黙展」を開く。 主な著作:『倒錯のロンド』(講談社文庫)『異人たちの館』(文春文庫)『暗闇の教室』(ハヤカワ文庫)『グランドマンション』(光文社文庫)など。


ケロッピー前田

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1965年東京生まれ、千葉大学工学部卒、白夜書房(コアマガジン)を経てフリーランス。世界のカウンターカルチャーを現場レポート、若者向けカルチャー誌『ブブカ』『バースト』『タトゥー・バースト』(ともに白夜書房/コアマガジン)などで活躍し、海外の身体改造の最前線を日本に紹介してきた。近年は、現代アート、ハッカー、陰謀論などのジャンルにおいても海外情報収集能力を駆使した執筆を展開している。著書に、前田亮一『今を生き抜くための70年代オカルト』(光文社新書)、『クレイジートリップ』(三才ブックス)など。

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