ついにマジックマッシュルームが米国の一部で解禁間近!? 有効成分「サイロシビン」の優れた効果に注目
米国は1970年代に行った「マジックマッシュルーム」への法規制を間もなく緩める可能性が高いという――。
■マジックマッシュルームの効用
1970年代以前は、サイケデリック治療(幻覚剤の医療効果)の研究は特にタブーではなかった。例えば1950年代から1970年代にかけて、米国の科学者たちは、アルコール依存症の治療に幻覚剤を使用できるかどうかを熱心に研究していた。
しかしヒッピーカルチャーが戦争反対を叫び、国の権力構造を脅かし、幻覚剤が娯楽として使われるようになった時、米国は迅速に動いた。幻覚剤はヘロインのようなより強力な麻薬と共に、スケジュールI薬(乱用の可能性が高く、米国で承認されている治療用途はないと考えられている薬物)として再分類され、ほとんどの研究は停止した。
マジックマッシュルームは現在、特定分野での治療に大きな期待を持たれている。一部の研究によれば、マジックマッシュルームは現在のうつ病の治療薬よりも優れた効果を発揮すると考えられている。またマジックマッシュルームはうつ病だけでなく、依存症やPTSDの治療に有用であるとも考えられているらしい。マジックマッシュルームの成分であるサイロシビンが、安全な投与量と管理された治療環境で使われると、脳の異常な機能が「リセット」されたように感じるという研究結果もある。

また別のサイロシビン研究もまた、末期がん患者の死への不安・恐怖に対処するのを助けると示した。「グローバル・ドラッグ・サーベイ2017」の報告によれば、サイロシビンは市場で最も安全な薬の1つであり、薬として承認された場合、副作用も比較的扱いやすく、乱用の可能性は低いらしい。
米ジョンズ・ホプキンス大学医学部の精神科医マシュー・W・ジョンソン博士も、現在マジックマッシュルームが分類されているカテゴリーは、ヘロインのような中毒性が高く、致死的な薬物に対するもので、マジックマッシュルームには当てはまらないという意見だ。
しかしジョンソン博士は、マジックマッシュルームに有害な効果が全くないわけではないとも述べる。博士は、マジックマッシュルームはスケジュールIV薬(乱用の可能性が低く、依存の危険性が低い薬物)として分類するべきで、例えばベンゾジアゼピン(例:抗不安薬のザナックス)のような扱いがより適合すると主張している。ジョンソン博士によると、マジックマッシュルームの最終的な承認試験は、今後5年ほどで行われるという。

■オピオイド依存症を減らすことに期待
現在米国では、マジックマッシュルームを所持すれば重罪が課される。しかし、それに反対する住民の多いコロラド州デンバーでは、2019年の選挙で、マジックマッシュルームの有効成分である少量のサイロシビンの所有を犯罪とするべきか、住民投票を行う予定だ。
デジタルメディアの「Vice」によると、現在米国各地では同じ草の根運動が幾つも起きているが、特にオレゴン州ではその運動が盛んであるという。また、昨年カリフォルニア州でも、マジックマッシュルームを非犯罪化するための住民投票が行われたが、まだ時期尚早だったのか、十分な理解が得られなかった。

しかし誤解のないように述べると、これらの州のマジックマッシュルーム解禁支持者は、決して娯楽目的として使用することや、完全なる合法化を提案しているわけではない。
コロラド州のマジックマッシュルームの解禁支持者は、マジックマッシュルームに含まれるサイロシビンの心理的ストレスを減らす力、そして現在米国で大きな社会問題となっている(痛み止めに使われている)オピオイド依存症を減らす効力を期待している。

現在、マジックマッシュルームは麻薬としてではなく、薬としての科学的理解が大きく進歩した。「マジックマッシュルーム」と呼ぶと、どうしてもサイケデリックな「ドラッグ」といったイメージだが、その有効成分の「サイロシビン」は、人々にとって、大きな助けとなる可能性を含んでいる。
(文=三橋ココ)
※参考:「Science Alert」、「Vice」、「Science Daily」ほか
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