小5で死んだ同級生の”名前”に30年以上つきまとわれた超怖い話 ― 川奈まり子の実話怪談「リピート」
私の名前「川奈まり子」はペンネームだが、宅配便や郵便物はこの名前でも本名でも問題なく届けられる。作家や芸能人にはあえて表札を出さず、芸名などしか公表していない者も多いのだ。
「芸能人風の人だったんですか?」
「ええ、まあ。でも水商売や風俗の女性かもしれないし、そっち系の女優さんかもしれません。シロウトじゃない雰囲気でした」
「とにかく教習所で見た女性とは別人だったわけですね。3回目も?」
「ええ。7回ともそれぞれ別の女性です。小学生から50歳前後で、ほとんどは関東圏で会いましたが、大阪と北海道でも名前を見ました。対面することなく、名前だけ目にすることもあって……参加した団体ツアーの名簿とか、展覧会の入口に置いてある芳名帳とかで……」
「いつも字まで同じ?」
「はい。名前がありきたりならともかく、あまり見かけないものなのに」
「優里杏(仮名)ですものね」
「それで、僕はだんだんと怖くなってきて、小学生のときに亡くなった鈴木優里杏さんについて、調べてみたいと思うようになりました」
高橋聡さんは都下郊外の生まれで、高校までは学区内の公立校に通っていた。従って、中学や高校の同級生には同じ小学校の出身者が何人もいる。
高橋さんが24歳のとき、中学校の同窓会が開かれることになり、実家から通知が送られてきた。
大学を卒業して社会人になった連中が中心になって同窓会を企画したようで、何もなかったら高卒組の自分は参加を躊躇したかもしれない——と彼は語った。しかし、そのときすでに3回も《すずき・ゆりあん》に遭遇していたので、誰か何か知っているかもしれないと考え、同窓会に行ってみることにしたのだった。
「5月のゴールデンウィークでした。僕はわざわざ休みを取って参加したんですよ。事前に中学のときに仲が良かった友だちに連絡して、一緒に行こうと誘いました。彼も同じ小学校出身で、鈴木優里杏さんを知っていましたから、同窓会の前に電話でこの話を打ち明けたんです」
「同姓同名の人に遭ってしまうという話をしたわけですね?」
「はい。そうしたら、鈴木さんは僕のことを好きだったんじゃないかと言うんですよ。だけど、小5で亡くなったんですからね? 僕はその頃はサッカーとゲーム以外、興味がなかったような気がします」
「個人差はありますけど、小5だったら、もう、好きな男子にバレンタインデーのチョコレートを贈るような年頃ですよ。ローティーンのうちは、女の子の方がませているかもしれません。同窓会でも、その話はしましたか?」
「一緒に行ったヤツが、止める間もなく、話してしまいました」
そうしたところ、同窓会に来ていた女性陣からも、鈴木優里杏さんが高橋さんを好きだったという証言が得られた。
「僕は子どもの頃、運動神経が良くて、足が速くて……市や何かの陸上競技会で小学校代表として走らされたり、運動会のリレーではいつもアンカーだったり。勉強はダメで、頭の中身は成長が遅いタイプだったけど、川奈先生がさっきおっしゃったように、小学校中学年のうちからバレンタインデーにチョコレートを貰えていたタイプでした。バカなガキだったから猫に小判みたいなもんで、全然ピンときていなくて、今にして思えばもったいなかったなぁ」
同窓会に参加していた女性のうち2人が、鈴木優里杏さんと特に親しかったとのことで、「何かわかったら教えてあげる」と言って、連絡先を交換した。
すると、その年の7月、東京ではお盆とされている時期に墓参りに誘われた。高橋さんは再び、例の同窓の仲良しを伴って墓参りをすることにした。
墓参は滞りなく行われ、墓参りの後、4人で霊園の近くの蕎麦屋に入った。
「水のコップが1つ多く出されたりして……と不謹慎な冗談を言うヤツもいたんですけど、そういうこともなくて、帰るまでは何事もありませんでした」
しかし、皆と別れた後に、少々不気味な出来事が起こった。
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2024.10.02 20:00心霊小5で死んだ同級生の”名前”に30年以上つきまとわれた超怖い話 ― 川奈まり子の実話怪談「リピート」のページです。名前、怪談、川奈まり子、情ノ奇譚などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで