専門家ほど未来を「予測できない」ことが科学的に判明! むしろ逆のことばかり起き… ガチで“当たる”人々の特性とは!?(最新研究)
■国際政治の専門家の多くはソ連崩壊を予測できなかった
テットロック氏が20年を費やした研究の結果、多かれ少なかれ専門家は信用ならない“予言者”であることが判明したのだ。それは専門家としてのキャリアの年数や、非公開情報へのアクセスの有無を問わない傾向であり、専門家は将来の短期予測、長期予測のどちらについてもゼネラリストよりも劣っていて、それはどの分野の専門家にも当てはまるものであったのだ。
例えば専門家が将来に絶対に起こらない、あるいはほとんど起こることはないと断言した出来事の15%は実際に起こっている。逆に専門家が将来に必ず起こると予測した出来事の25%は実際には起こらないままに終わっているということだ。
この件について象徴的な出来事は1991年のソ連崩壊である。何らかのイデオロギーを強く支持している政治の専門家の多くは、ソビエト連邦の急激な崩壊劇を予測することができなかったのだ。なぜなら、彼らは自らの世界観のレンズを通して自分に都合の良い根拠のみを選んで解釈したからである。かたや政治的に党派性を持たないゼネラリストの多くはソ連崩壊を予見できていたのだ。
専門家とゼネラリストの間にこうした違いを生み出している原因は何なのか? それはゼネラリストたちが、過去の失敗例から多くを学んでいることにあるという。一方で専門家はあまり失敗を学ぶことなく自分たちの限定された狭い専門分野の中で培った理論から、過剰な自信を持って正解と思えるものを導き出しているのだ。
「予測を行う者が抱く、自分たちが知識を駆使して考え抜いたという自負と、実際にそのように事が運ぶのかどうかの間にはしばしば奇妙な逆説的関係があります」と、20年間の研究を通じた結論としてテットロック氏は結んでいる。我々は“専門家の見立て”を何の疑問もなくそのままま鵜呑みにしがちだが、どうやらそこにはかなり危険な落し穴があるようだ。
参考:「Futurism」、「The Atantic」、ほか
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