絶対に泣ける恐い話…母を亡くした少女の身に起きた恐怖体験! 川奈まり子の怪談「インターホン」
みよちゃんが慣れない家事と奮闘しはじめて3カ月あまり経った頃のこと。
それはちょうど学校の二学期が始まった日で、佳恵さんと妹は午前11時過ぎに連れ立って帰宅した。近年は始業式の日にも授業がある学校が多いようだが、この頃2人が通っていた公立小学校では、始業式の日は式とホームルーム、避難訓練があるだけで、午前中に生徒を下校させた。
佳恵さんたちは家に着くと、門のところでインターホンを鳴らして、ドアの鍵を開けてもらう習慣だった。呼び鈴のボタンとマイク、スピーカーが付いている、当時の標準的なインターホンで、この日は佳恵さんの妹がボタンを押した。
すぐにスピーカーから「はーい」と返事が聞こえてきた。
「みよちゃん、ただいま!」と妹が応えた。
「……」
いつものみよちゃんなら、即座に「おかえり!」と返事をするところだが、スピーカーは最初の「はーい」の後は沈黙している。
佳恵さんたちは顔を見合わせた。……が、とりあえず、玄関に行き、ドアを開けようとした。
しかし開かなかった。鍵を開けてくれていないのだ。こんなことも初めてだった。姉妹は再び目を見交わした。
「どうしたんだろう? ……みよちゃーん!」と、妹がドアに向かって大声を出した。
「みよちゃーん! 開けてー!」
すると隣の家のおばさんが、2階の窓から顔を出した。
「どうしたの? おっきな声を出して。叔母さんなら、さっき出掛けていったよ」
「え? でもインターホンに『はーい』って返事をしました」
「じゃあ、おとうさんが帰ってきてるんじゃないの?」
しかし、さっきの声は女性のものだった。また、父は会社勤めで、滅多に早退することはない。
結局、それから一時間ぐらいして、みよちゃんが買い物袋を両手に提げて帰ってきた。庭で遊んでいる二人を見て目を丸くしてから、ハッと気づいたようすで、「あっ、始業式だから帰りが早いんだ!」と叫んだ。
「ごめんね! そうかぁ。失敗しちゃった。すぐお昼ご飯にするからね!」
家に入る前に、「みよちゃん、誰かが返事をしたんだよ」と妹がさっそく先刻の出来事を報告した。佳恵さんがさらに詳しく説明すると、みよちゃんは門のところに引き返して、インターホンを鳴らした。
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