“死”にまつわる10の科学的新事実! 死後の意識や蘇生…自分の死を楽しみにしている人は“ネタバレ”注意!

4. エネルギーは残っている

 死は決して“ガス欠”や“電池切れ”ではない。肉体にはまだエネルギーが残っているのだ。熱力学の第一法則によれば、すべての生命に力を与えるエネルギーは継続し、エネルギーそのものを破壊することはできない。

 そしてこのエネルギーは変換される。ジャーナリストでありコメディアンでもある物理学者、アーロン・フリーマン氏は自著『Eulogy from a Physicist(物理学者からの弔辞)』の中で以下のように説明している。

「葬式ですすり泣く母親に熱力学の第一法則について思い出させたいのです。宇宙の中では新たにエネルギーが生み出されることはなく、破壊されることもありません。母親には死者のすべてのエネルギー、あらゆる振動、あらゆる熱量、あらゆる粒子の波がこの世界に残っていることを知ってほしいのです」

5. 臨死体験は“夢”なのか?

 臨死体験談にはさまざまなバリエーションがあるが、2006年のアメリカ神経学会(American Academy of Neurology)の研究では、臨死体験は睡眠と覚醒の中間にある睡眠覚醒状態(sleep-wake state)に由来することが指摘されている。研究チームは、臨死体験を持つ人々は、覚醒状態の意識に睡眠が侵入するレム侵入(REM intrusions)を受けている可能性が高いことを突き止めたのだ。

「臨死体験のある人は、それらをレム侵入の原因となる覚醒システムを持つかもしれません」と研究を主導したケビン・ネルソン教授はBBCの取材に応じている。レム侵入が起こると意識が覚醒と睡眠の中間状態になり、多くの人は鮮明な記憶に残る夢を見るという。この夢こそが臨死体験ではないかというのだ。

 しかしながら臨死体験は研究対象となるケースの絶対数が少ないことから研究の進展はきわめて遅々としたものであることも事実だ。

 そこでこれまでに行われたある実験では、1000もの病室内の棚の天板の上に絵画を設置するユニークな手法を講じている。この絵画は普通の高さからは見えない位置にあるのだが、もし本当に病室のベッドの患者が“幽体離脱”して天井から自分の姿を見たとすれば、その臨死体験中にこの絵画も目に入る可能性が高いはずである。

 しかし該当する部屋で“蘇生”した患者をインタビューしてみると、誰一人としてこの天井近くにある絵画を目撃していなかったという。とすればやはり臨死体験は実際に起こっている体験ではなく“夢”ということになるのだろうか。いわゆる“スピリチュアル”の側では臨死体験は広く信じられているが、一部の科学者たちからは“夢”のような脳内の現象であるとの指摘がまだまだ根強いようだ。


【後編】(6月4日12時に配信予定)に続く!


参考:「Big Think」、ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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