ヨーロッパ大陸の下に“失われた第8の大陸”が眠っていた! 消滅理由も判明、資源開発が爆速進展か!?

 彼らは地中海地域の2300カ所の磁気性岩の調査を行うとともに、コンピュータによって構造プレートの動きをシミュレーションした。その結果、大アドリア大陸は2億2000万年前に現在のアフリカから切り離され、4000万年後にイベリア半島になり、それがさらに分裂したものと判断できた。

 ヒンスベルゲン氏は取材に対し、約1億4000万年前までには、大アドリア大陸は群島を形成していたのではないかと推測を立てている。ニュージーランドの北島と南島を除き、全体構造の93%が海面下に沈む大陸の断片であるジーランディアと似通った状態だ。

 その後は前述の通り、地球の構造プレートの運動によって、南欧の地下深くに吸収されてしまう。

「現在、最も深い部分はギリシャの地下1500キロメートルの深さにあります」(ヒンスベルゲン氏)

 しかし、大アドリア大陸は完全に飲み込まれることはなく、わずかな名残を海面上に残した。それらの断片はトリノやヴェネツィアといったイタリアの一部となり、風光明媚なクロアチアのイストリア地方に姿を変えたのだという。

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クロアチアのイストリア地方 画像は「Wikimedia Commons」より

■資源開発を後押しする可能性

 大昔の地球の姿を知ることは、未来を生きる人類に経済的な恩恵をもたらすかもしれない。

 ヒンスベルゲン氏によると、地質史の再構築は、特定の磁性物質が地殻に堆積する上での地域性を際立たせるという。既存の鉱物や鉱床がどのように形成され、残りの材料がどこに埋もれるかをより明確に把握できるため、希少な鉱物の採掘をもくろむ国や企業の役に立つという。

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「Science Alert」の記事より

「金属、セラミック、建築素材……これらはすべてが岩石から産出されるものです」と語るヒンスベルゲン氏はこう続ける。

「森を散策したところで、金や胴の鉱脈はもちろん、iPhoneを動かす耳慣れないいくつもの素材を見つけることはできません」

 電気自動車の普及に代表される技術革新により、レアメタル・レアアースの需要は世界的に増加するとみられている。海底開発の機運が高まる今、ヒンスベルゲン氏の研究は将来的な生産拡大の追い風となりそうだ。

参考:「Science Alert」、「Business Insider」、ほか

文=Forest

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