「ものすごい鬱になる最恐のトラウマ映画10選」を『地獄少女』監督・白石晃士が選出!
「ものすごい鬱になる最恐のトラウマ映画10選」を『地獄少女』監督・白石晃士が徹底選出!!
『降霊 KOUREI』
1999年 日本
監督 黒沢清
主演 役所広司
<概要>『CURE』『回路』などホラー作品の評価が高い黒沢清監督の作品。霊能者である主婦純子は偶然見つけた少女の死体を利用して、世間を見返してやろうと目論むが……。
<白石監督の解説>
黒沢清監督作品の中では難解さはおさえられている作品です。黒沢監督の作品の中では1〜2番目に好きな映画です。
しかし本当に最悪に嫌な話です。すべてが嫌な方向に進んでいく映画で、嫌な気持ちになること必至です。
ただ映画としては本当に素晴らしい。
作中で幽霊が出てくるんですが、その幽霊のビジュアルが「霊能者の見ている幽霊に一番近い」と言われている作品でもあります。
『杏っ子』
1958年 日本
監督 成瀬巳喜男
主演 香川京子
<概要>戦後が舞台。売れっ子作家の娘、杏子はラジオ修理業をやりながら小説を書いている漆山亮吉と結婚する。杏子は、毎日酒を飲み、正業につこうとしない亮吉にために、嫁入り道具を売るなどして家計をやり繰りするが、亮吉は荒れていく一方で……。
<白石監督の解説>
ものすごい鬱映画です。とにかく夫婦仲がどんどん悪化していくんです。暴力にまで発展するんですけど、杏子はひたすら耐えるんです。でも「離婚する」みたいな話は出てこず、杏子は妻であることをやめない。ラストも最悪の旦那のいる家に戻って行くんです。
実はこういう家庭はよくあるんだと思います。上手くいってないし、けれど一緒にいることを続けている家庭。そのリアリティーがすごいですね。“現実に目をそらさずに見ていく過酷さ”みたいなのを感じて、映画としてはとても良いですね。
何も解決しないラストは、今の人が見たら唖然とすると思います。人によっては怒り出すんじゃないかな。
『ポエトリー アグネスの詩』
2010年 韓国
監督 イ・チャンドン
主演 ユン・ジョンヒ
<概要>生活保護を受けながら生活する60代の女性ミジャが主人公。娘から預かった中学生の孫チョンウクと生活をしている。詩を習い、初めて詩を書く喜びを知る。しかしアルツハイマーが発症してしまう。そして一緒に暮らす中学生の息子が、連続集団レイプ事件の一員であることを知る。
<白石監督の解説>
すごい傑作ですね。イ・チャンドンは人の世の地獄を見続ける監督です。アルツハイマーを発症し始めたおばあさんが、レイプ犯の孫と、生活を続けていくリアリティーがすごいですね。息子も悪びれる様子もありません。日本の映画みたいに
「俺はなんてことをしてしまったんだー!!」
って錯乱してしまったりすることはなく、淡々と日々の生活を送っています。
レンタルしているところ少ないかもしれませんが、DVDはまだ販売しています。ぜひ見てほしいですね。
ただしひたすら地獄です。地獄を見続けた先に何を見出すかはお客さん次第だと思います。
本質的なところでは『杏っ子』にすごく近いと思います。
(思わず藤原竜也扮するレイプ犯が「俺はなんてことをしてしまったんだー!!」って慟哭しているのを想像してしまいました。ザッツ日本映画!!/村田らむ)
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2024.10.02 20:00心霊「ものすごい鬱になる最恐のトラウマ映画10選」を『地獄少女』監督・白石晃士が徹底選出!!のページです。ホラー映画、村田らむ、白石晃士、地獄少女、トラウマ映画、鬱映画などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで