脳に「意識のエンジン」があることが米大学研究で新判明! 電気刺激で覚醒する“極小部位”とは!?

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画像は「getty images」より

 考えてみれば眠りとは恐いものだ。一度寝入ってしまえば、私の意識も体も自分でコントロールすることはできず、覚醒する保証はどこにもない。我々はただ経験的に覚醒することを知っているだけに過ぎないからだ。

 しかし、覚醒は未知の力によるものではなく、我々自身よりもずっと賢い脳の機能だった。この度、意識を始動する“エンジン”が発見された。

 知的情報サイト「Big Think」(2月14日付)によると、先週水曜日に科学ジャーナル「Neuron」に掲載された米・ウィスコンシン大学の研究により、脳の極小部分が意識の“起動スイッチ”であることが分かったという。

 これまでの研究から、頭頂葉や視床といった脳部位が意識に関係していることは徐々に明らかになりつつあった。そこで、ウィスコンシン大学のユーリ・サールマン助教授らは、人間の脳と構造が似ているマカク属のサル(ニホンザルもマカク属)を使い、覚醒時のものに似た電気信号で脳の各部位を刺激し、「意識を生み出す最小のメカニズム」を特定しようとしたという。

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赤で囲われた範囲の緑色の部分が「視床外側中心核(CL)」。画像は「Wikipedia」より

 その結果、視床外側中心核と呼ばれる非常に小さな部位が意識のエンジンだと判明した。ここを刺激するとサルは目覚め、脳波も覚醒時のものになり、いかにも目が覚めたという反応を示したという。そして、視床外側中心核への刺激を止めると、スイッチを切ったかのように、すぐにサルは意識を失ったとのことだ。

 脳の中でも極めて小さい視床を構成するたった数ミリメートルしかない部位が意識の目覚めにとって決定的に重要な役割を担っているというのは驚くべきことだが、同時に心もとない。我々の意識はこんなにも儚いものの上に成り立っているのだ。

 それはさておき、今回の発見は未来の医療に大きく貢献することが期待されている。今後詳細なメカニズムが明らかになれば、意識障害の治療や昏睡状態から患者を目覚めさせることができるかもしれないし、麻酔をかけられた患者が本当に意識を失っているか判断することも今よりずっと確定的に行えるようになるからだ。

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