いつキリストは“白人のビジュアル”になってしまったのか!? 容姿の変遷がヤバイ… 捏造された歴史を解説!
■白人のイエス・キリストは帝国主義のアイコン
そして大航海時代を迎え、白人のイエス像は西洋列強の植民地政策と共に世界に広まっていった。
植民地貿易だけでなく、この時代に世界中を訪れた宣教師たちも白人のイエス像を広める重要な役割を果たしていた。
1590年頃に日本を訪れたイタリアの宣教師で画家のジョバンニ・ニッコロの熊本の神学校でも、白人の聖母マリアと乳児のイエスの絵が描かれて展示されていたのだ。
この時代に西洋列強の植民地となった南米でも白人のイエス像が広まり、白人のクリスチャンが社会階層のトップを占める人種差別的カースト制度の基盤になったという。
研究者のエドワード・J・ブラムとポール・ハーヴェイは、白人のキリストのイメージが帝国主義の論理と結びつき、ネイティブアメリカンとアフリカ系アメリカ人への抑圧を正当化するために使われたことを指摘している。白人のイエス・キリストは帝国主義のアイコンであったことになる。
これはアメリカでさらに著しいものになり、 前出の「Head of Christ」だけでなく、テレビや映画でイエスを演じた俳優の多くは金髪で青い目をした白人俳優であった。
こうした歴史に鑑みれば、イエス・キリストの容貌はきわめて“政治的”であったことになる。イエスの実像を知る術はないのだが、イエスがどのように描かれているのかをよく見定めることで、制作者の意図が見えてくるとも言えるのだろう。
参考:「The Conversation」、ほか
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